赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 54


私は、あなたの話を、さっきから黙って聞いており
ました。城主のうわさは、私の耳にも入っておりま
す。あなたがいわれたようなことを、城主はおそら
くしているのでしょう。


でも、幼いこどもの前で、城主の悪口をいってはな
りません。私は、あなたを許すわけにはいきません。
来年、この家には真っ赤な夕顔の花が咲くでしょう」
お万がいいました。
「何、来年、真っ赤な夕顔の花が咲くと。わしは、赤
い夕顔の花などみたことがないわ」
おばあさんは、腹立ちまぎれにいいました。


         つづく