[童話]赤い夕顔の花
赤い夕顔の花 55
「赤い夕顔の花をみたことがなければ、私が赤い夕顔
の花を咲かせてみせましょう」
お万がいいました。
「馬鹿なことをいう奥がたじゃ」
おばあさんは、にやにや笑いながらいいました。
お万たちは、「おさわがせし申し訳ありません」と頭を
さげ、その家を去りました。
なんて心のせまいおばあさんなのでしょう。
ことわりもなく夕顔の花をとったことは悪いことです。
でも、庭先には、数えきれないほどたくさん花が咲い
ていたではありませんか。
その中の一つを、幼いこどもにあげようというやさしい
気持がなぜないのでしょう。
つづく