竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎


   竜神になった三郎 21


しかし、三郎は毎日妻のことばかり考えていました。
「早く家に帰りたい。おっかあはどんなに心配して
いるだろう」
そう思うと、三郎はいてもたってもいられません。
「どうか妻に会わせてください」
三郎は、何度も神様にお願いしました。
「もう少したったらのぅ」
神様はそういうばかりでした。
 
 
一方、三郎の妻は、いくら待っても三郎が帰ってき
ません。
「兄さん、三郎さんがまだ帰ってこないのですが、
どうしたのでしょうか」
心配になった妻は、兄たちに聞きました。
「三郎はな、町で用たしをしてくるといっとった。
だから、もうすぐ帰ってくるじゃろ。心配ないさ」
兄たちは、平然としていいました。


     つづく





竜神になった三郎」は、みほようこの二冊目の
童話集「竜神になった三郎」に収録されています。


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