福寿草になった少女

[童話]福寿草になった少女


   福寿草になった少女 7


「なんでこんなかわいい子を捨てるのじゃ」 
「きっと理由があったのでしょう。こんなかわいい子
ですもの、母親だって捨てたくなかったでしょうに」
かわいいこどもを捨てるなんて、こどもの授からない
夫婦には、考えられないことでした。


「それにしても、かわいい子じゃのぅ」
長者はなれない手つきで、そっと女の子をだきあげ
ました。
女の子は長者の顔をみて、にっこりほほえみました。
「おう、おう。よいこじゃのぅ」
長者は目を細め、女の子をあやします。


「ねぇ、私にもだかせて」
奥さんは女の子を受け取ると、やさしくほおずりしま
した。
すると、お乳の甘いかおりが、ぷーんとしました。

 
     つづく





福寿草になった少女」は、みほようこの二冊目の
童話集「竜神になった三郎」に収録されています。


https://mihoyouko.web.fc2.com/douwasyuu2.html


童話集「竜神になった三郎」の価格は、
現在 1540円です。