福寿草になった少女

[童話]福寿草になった少女


   福寿草になった少女 15


どこをさがしても、黄金色の花など、ひとつもありま
せん。
枯葉が一面に落ちているだけでした。
福の足音と、鈴の音だけが、静かな山の中にひび
きわたります。


どのくらいの時間がすぎたのでしょうか。
あたりがなんとなくうす暗くなってきました。
福がでかけた時は、からりと晴れていたのに、今に
も雪が降ってきそうでした。
しばらくすると、雪がちらちらと舞いはじめました。
「早く家に帰らなくては。とうちゃんとかあちゃんが、
心配しているだろう」
福は、山をおりようと思いました。
しかし、一日じゅう山の中を歩き回ったせいか、もう
一歩も歩けません。

  
     つづく





福寿草になった少女」は、みほようこの二冊目の
童話集「竜神になった三郎」に収録されています。


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童話集「竜神になった三郎」の価格は、
現在 1540円です。