瑠璃寺の青獅子

[童話]瑠璃寺の青獅子


瑠璃寺の青獅子 17


のみがきれなくなると、滝へ行き滝に打たれ
ます。
そして、滝にかかる虹をみながら、男は一心
にのみを研ぎました。
のみを研いでいると、ざわざわしていた心が
消え、心が静かになりました。


男は、寝る間もおしみ、獅子頭を彫りつづけ
ました。
いつ食事をしたのか、いつ寝たのか、すぐに
は思い出せないほど、獅子頭を彫ることに熱
中していました。
梅雨があけた頃、ようやく獅子頭の荒彫りが
終わりました。


         つづく

瑠璃寺の青獅子

[童話]瑠璃寺の青獅子


瑠璃寺の青獅子 16


不動明王さま。これから、獅子頭の荒彫り
を始めます。木の中から、元気な獅子があら
われますように」
男は、そう祈りました。
そして、滝にうたれ身を清めました。


小屋へもどった男は、木の前で何度も深呼吸
をし、心を静めました。
「獅子よ。これから、荒彫りを始めるぞ」
そう声をかけ、男は木を彫り始めました。
「こっ、こっ、こっ」
木を彫る音だけが、小屋にひびきます。


        つづく

瑠璃寺の青獅子

[童話]瑠璃寺の青獅子


瑠璃寺の青獅子 15


「獅子よ。早く目をさましておくれ。そして、
外へでておいで。待っているぞ」
男は、木にむかって話しかけました。
まず、獅子頭の大きさを決め、ていねいに木
を切りました。
そして、下絵が描けるように、表面を削ります。


次は、下絵描き。
獅子頭のイメージを元に、下絵を描いていき
ます。
下絵描きが終わると、いよいよ荒彫りです。
荒彫りを始める前に、男は滝へ行き、不動明
王にお参りしました。


       つづく

瑠璃寺の青獅子

[童話]瑠璃寺の青獅子


瑠璃寺の青獅子 14


「よーし、りっぱな獅子頭をつくるぞ」
男は、改めて心にちかいました。


真っ赤な大きな顔。
黄金色の髪。
黒々した太いまゆ。
かっとみ開いた大きな目。
獅子鼻とよばれるまあるい大きな鼻。
こどもを飲みこんでしまいそうな大きな口。
金色の四角い歯。


獅子頭のイメージが頭に浮かぶと、男は滝へ
行き、不動明王にお参りしました。
その後、滝へ行き身を清めました。
そして、獅子頭を彫るために、男は小屋にこ
もりました。


        つづく

瑠璃寺の青獅子

[童話]瑠璃寺の青獅子


瑠璃寺の青獅子 13


「この寺の獅子舞は、屋台を使っている。大き
な木の枠に車輪をつけ、竹で骨組みをつくる。
そして、その上に幌をかけるのじゃ。屋台の長
さは、約七メートル。幅は、二メートル。高さ
は、二メートルくらいあるかのぅ」


「大きな屋台なのですね。屋台の中へは、何人
入るのですか」
男が聞きました。
「大太鼓・小太鼓・笛を吹く人で、十人くらい
かのぅ。その他に、獅子頭の舞い手が何人か入る」
「そんなに大勢の人が、屋台の中へ入るのですね」
男は、大がかりな獅子舞に驚きました。


          つづく

瑠璃寺の青獅子

[童話]瑠璃寺の青獅子


瑠璃寺の青獅子 12


「瑠璃寺は、何百年も続いている由緒ある寺。
その寺にふさわしい獅子頭を、わしは彫ること
ができるだろうか」
男は、不安でした。
「わしは、若い時から、いくつもの仏像やお面
を彫ってきた。だから、獅子頭だって彫れる」
男は、自分の心に強くいいきかせました。


道具の手入れがすむと、寺へ行き、和尚に獅子
頭をみせてもらいました。
そして、和尚から、獅子舞の様子をこまかに聞
きました。
「たった一本の手綱で、屋台と獅子をたくみに
あやつっているのは、宇天王なのじゃ」
「屋台といいますと」


         つづく

瑠璃寺の青獅子

[童話]瑠璃寺の青獅子


瑠璃寺の青獅子 11


木がみつかると、のみやかんななど、木を彫る
ための道具の手入れを始めました。
仕事を始める前には、まず滝へ行き、不動明王
にお参りします。
「わしは、獅子頭をみたこどもが、びっくりし
て泣きだすような、そんな獅子頭を彫りたい。
どうかわしに力をかしてください」
そう祈りながら、滝にうたれました。


身を清めた男は、数十本ののみを、一本ずつて
いねいに研いでいきました。
仏師にとって、道具の手入れは、とても大切な
仕事でした。
男は、若い時から、いくつもの仏像やお面を彫
りました。
でも、獅子頭を彫るのは、初めてでした。


         つづく