2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

竜神になった三郎

竜神になった三郎25 のどがかわいた三郎は、水を飲も うと、近くの沼へ行きました。 「おや、なんだろう」 沼に写った自分の姿をみた三郎は、 腰がぬけるほどびっくりしました。 三郎の体は、うろこのついた大き な蛇になっていたのです。 「せっかく村に…

今年は、こんな年でした。

今年は、こんな年でした。・ みほようこの五冊目の童話集 「竜の姿をみた少女」が、12月 12日に、「鳥影社」から発行さ れました。 信州の二つの湖(しらかば湖と 白駒の池)を訪ねた時に、諏訪 の「風の神様」から聞いた話。 竜の姿をみた少女 http://w…

竜神になった三郎

竜神になった三郎24 三郎は、妻に会いたい一心で、休 むことなく毎日歩き続けました。 「この道をまっすぐ行けば、本当 に地上へでることができるのだろ うか」 「早くおっかあに会いたいな。 おっかあは元気でいるだろうか」 三郎は、妻のことばかり考え…

竜神になった三郎

竜神になった三郎23 この道をまっすぐ行けば、おまえ が住んでいた村の近くにでるだろう。 妻に会ったら、またこの国へもどっ てくるのじゃよ。 わしはおまえの帰りを、首を長くし て待っているぞ」 神様はそういいました。 そして鹿のなまぎもでつくった…

竜神になった三郎

竜神になった三郎22 一日たち、二日たち、三日たって も、三郎は帰ってきませんでした。 「三郎さんはどうしたのかしら」 三郎のことが心配で、妻はいても たってもいられません。 妻は諏訪湖へ行き、朝から晩まで 三郎を探しました。 でも三郎はみつかり…

竜神になった三郎

竜神になった三郎21 「どうか妻に会わせてください」 三郎は、何度も神様にお願いしま した。 「もう少したったらのぅ」 神様はそういうばかりです。 一方、三郎の妻は、いくら待って も三郎が帰ってきません。 「兄さん、三郎さんがまだ帰って こないので…

竜神になった三郎

竜神になった三郎20 地の国では、今までみたこともな い美しい花が、たくさん咲いてい ました。 その花のまわりを、赤・黄・紫・ 白など、たくさんのちょうが、ひ らひらと舞っています。 木の枝では、色あざやかな小鳥が、 チィチィと楽しそうにさえずっ…

スターチス

「花のほほえみ」より スターチス

竜神になった三郎

竜神になった三郎19 「おまえは本当に不思議な男じゃ のぅ。 そうだ、おまえを地の国の王子に してあげよう」 「えっ、私が地の国の王子ですっ て?」 「そうじゃ。人を少しも疑うことを 知らないおまえを、この国の王子に してあげよう。 じつはこの王様…

竜神になった三郎

竜神になった三郎18 どのくらいの時間がすぎたのでしょ うか。 「気分はどうじゃ。気がついたかな」 その声で、三郎ははっと目がさめま した。 三郎は、広い部屋の中で寝ていました。 そばには、長いひげのおじいさんが立 っていました。 「わしは地の国の…

竜神になった三郎

竜神になった三郎17 三郎の頭の中には、兄たちとの楽 しかった思い出が、次々と浮かび ました。 山でわらびやたらの芽、あけびや 栗を取ったことが、昨日のことの ようになつかしく思い出されました。 「おっかあ、助けてくれー。 おっかあ、おれはまだ死…

竜神になった三郎

竜神になった三郎16 三郎の目にとびこんできたのは、 うずをまいている水面でした。 うずはだんだんに大きく、強く なってきました。 「太郎兄さーん、助けてぇ」 「次郎兄さーん、助けてくれー」 三郎は、ひっしで兄たちに助けを 求めました。 しかし・・…

竜神になった三郎

竜神になった三郎15 そして、やっと湖の真ん中あたり にきました。 「三郎、疲れただろ。ご苦労だっ たな。ここらでいいだろう。 天気も良いし、今日はたくさん魚 がつれるぞ」 兄たちは、なぜか上きげんでした。 三郎はひっしで舟をこいできたの で、うで…

竜神になった三郎

竜神になった三郎14 「三郎さん、大きな魚をたくさん つってきてね。 気をつけてね、いってらっしゃいー」 妻は、いつものように三郎を見送 りました。 数時間後、三人はやっと諏訪湖に つきました。 三人は、小さな舟にのり、湖の真 ん中めざしてすすみま…

竜神になった三郎

竜神になった三郎13 ついに二人は、悪魔のような恐ろ しいことを考えついたのです。 次の日曜日に、三郎を魚つりにさ そいだし、諏訪湖の深いふちに突 き落とそうと、二人は決めました。 そんな悪だくみがあるとは知らず、 三郎は妻と仲良く暮らしていまし…

竜神になった三郎

竜神になった三郎12 「それもそうだな。ほかに何か良 い考えはねえかな」 二人は、会うたびに、三郎を困ら せようと相談しました。 そんなある日。 「諏訪湖の真ん中あたりに、うず をまいている深い場所があると、 年寄りから聞いたことがある。 そこは底…

りゅうの俳句

りゅうの俳句1563 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091017#p4

竜神になった三郎

竜神になった三郎11 「どうやったら、三郎をぎゃふん といわせることができるかな」 二人は、何ヶ月もかけて相談しま した。 兄たちがそんな悪い相談をしてい るとは夢にも思わない三郎は、今 までどおり兄たちと仲良くしてい ました。 山深い村にも、よう…

竜神になった三郎

竜神になった三郎10 「三郎さはいいのぅ。美人で、や さしくて、その上働き者の嫁をも らって。 おらの息子も、あんな良い嫁をも らってくれたら、どんなにうれし いだろう」 そういって、村の人々は、三郎の 嫁をほめました。 素敵な妻を迎えた三郎をみて…

竜神になった三郎

竜神になった三郎9 一年が過ぎました。 山の木々が、赤や黄色に紅葉し始 めた頃、三郎と娘は、夫婦になり ました。 夫婦になった二人は、仲むつまじ く暮らしました。 「三郎さん、ご苦労さま。疲れた でしょ」 仕事から帰ると、妻はやさしく三 郎を迎えて…

童話集「竜の姿をみた少女」が、「鳥影社」より発売されました。

オンライン書店「ビーケーワン」で、 みほようこの五冊目の童話集「竜の 姿をみた少女」が、発売になりました。 「アマゾン」でも、15日に発売の予定。 他の書店でも、近日中に発売されます。 童話集「竜の姿をみた少女」 http://www.bk1.jp/product/03220…

竜神になった三郎

竜神になった三郎8 「三郎、今日はうれしそうな顔を しているが、町で何かよいことが あったかや」 太郎が聞きました。 「いや、べつに」 三郎はぶっきらぼうに答えました。 三郎の心の中は、諏訪湖のほとり で会った美しい娘のことで、いっ ぱいだったので…

冬桜

「花のほほえみ」より 冬桜

竜神になった三郎

竜神になった三郎7 「兄弟は何人?」 「私、一人っ子なの。 おじいさんと暮らしていたけれど、 おじいさんもこの春なくなってし まったわ。だから今は一人っきり」 村の娘とちがい、娘のことばは上 品でした。 二人とも初めて会ったのに、いつ かどこかで会…

冬桜

「花のほほえみ」より 冬桜

竜神になった三郎

竜神になった三郎6 真っ黒な長いかみ・色白な顔・赤 いくちびる・澄んだひとみ・すら りとした体。 娘は、桃色の着物をきていました。 諏訪湖の精のような、美しい娘で した。 三郎は、今までこんな美しい娘を、 みたことがありません。 「なんて美しい人だ…

竜神になった三郎

竜神になった三郎5 ななかまどの実が橙色になった、秋 のある日。 三郎は、遠くの町へ用たしにでかけ ました。 その町には、大きな美しい湖、諏訪 湖があります。 三郎は、久しぶりに諏訪湖によって みました。 魚でもとっているのでしょうか。 湖には、小…

ヒマラヤゆきのした

寒さが厳しいのに、「ヒマラヤゆきの した」の花が咲いている。 「花のほほえみ」より ヒマラヤゆきのした

竜神になった三郎

竜神になった三郎4 十数年が過ぎました。 大人になった兄たちは、それぞれ に妻をめとり、平凡に暮らしてい ます。 三郎も、ニ十四才になりました。 りりしい青年になった三郎は、村 の娘たちから「三郎さ、三郎さ」 と、したわれています。 「わし、三郎さ…

冬桜

今年も、保育園の庭の「冬桜」が 咲き始めました。 町内の業者が、「こどもたちに冬桜 をみせてあげたい」と、秋田から取 り寄せた桜だそうです。 高い木の枝に、小さな花をつけてい る冬桜の花。 「花のほほえみ」より 冬桜