2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

竹取物語

帝、かぐや姫の昇天を確かめる 4 使用人たちも、兵士と同じように、 弓矢を持ち武装しています。 兵士の一部を屋根からおろし、家 の中にいるかぐや姫も守りました。 おばあさんは、塗籠の中で、かぐ や姫を抱いて座っています。 おじいさんは、塗籠の戸に…

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帝、かぐや姫の昇天を確かめる 3 使者は御殿に帰り、帝に報告しま した。 「かぐや姫を、ひとめみただけで も忘れることができないのに、長 い間かぐや姫と暮らした翁は、ど んな気持でいるのだろう」と、心 配しました。 八月十五日。 帝は、それぞれの役…

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帝、かぐや姫の昇天を確かめる 2 「かぐや姫が、月をみて、物思い にふけっているといううわさは、本 当か」 使者が聞きました。 すると、おじいさんが、 「今月の十五日に、月の都から、 かぐや姫を迎えにきます。十五日 に、月の都の人たちを捕まえるた …

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帝、かぐや姫の昇天を確かめる 1 「かぐや姫が、月に帰る」という うわさを聞いた帝は、竹取りのお じいさんの家へ使者を送りました。 おじいさんは、使者に会い、「娘 は、八月十五日に、月へ帰ってし まいます」といい、泣いています。 おじいさんは、姫…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 23 姫は、おじいさんとおばあさんと 一緒に泣きました。 使用人たちも、長い間、優しい姫 と暮らしてきたので、姫が月に帰 ってしまうと聞き、悲しい気持で いっぱいでした。 どの人も水さえ喉に通らないほど、 かぐや姫のこ…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 22 おじいさんが泣くのをみて、姫は どうしたらいいのかわかりません。 「月の国には、私の父も母もいま す。わずかな間だけといって、月 の国からやってきました。でも、こ の国で、長い年月がすぎてしまい ました。 月の国…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 21 今月の十五日に、月の国から迎え にくることになっています。私は、 月に帰らなくてはならないのです。 二人がこのことを知ったら、悲し むだろうと思い、この春以来、悩 んでいました」 そういって、姫ははげしく泣きま …

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帝のお召しに応じないかぐや姫 20 かぐや姫が、泣きながらいいました。 「前々から、私が泣いている訳を話 そうと思いましたが、話すと二人が 悩むと思い、今まで話せませんでし た。でも、いつまでもだまっている わけにもいきません。 おもいきってうち…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 19 「まだ姫さまは、悩み事があるよ うです」 仕えている人たちは心配しました。 でも姫が何を悩んでいるのか、誰 もわかりません。 八月十五日が近づいたある日の夜。 姫は縁側に座り、月をみながらは げしく泣いています。…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 18 「姫、もう月をみてはいけません。 姫の様子をみると、何か悩んでい るようにみえるが」 「私は、月をみないではいられま せん」 と姫がいいました。 姫は、月が出ると、縁側に座り、た めいきをついています。月が出て …

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帝のお召しに応じないかぐや姫 17 「姫。月をみて、物思いにふけっ ているようだが、何か悩み事があ るのかね」 おじいさんが、聞きました。 「月をみると、心細くしみじみした 気持になりますが、何も悩み事は ありません」と。 しばらくして、またおじい…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 16 「姫さま。月をみるのは、不吉です。 二度と月をみてはいけません」 姫に仕えている人がとめるのですが、 姫は月をみて、はげしく泣くように なりました。 七月十五日の夜。 かぐや姫は縁側に出て座り、月をみ ながら、物…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 15 かぐや姫は、お召しには応じなか ったが、帝との手紙のやりとりは しました。 帝は、かぐや姫への手紙に、季節 の木や花をつけて、歌を届けるの を楽しみにしています。 帝とかぐや姫が、手紙のやりとりを しているうちに…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 14 帝は、御殿に帰り、そばに仕えて いる女性をみたが、かぐや姫のよ うに美しく、素晴らしい歌を詠む 人はいません。 今までは、他の人よりは素晴らし いと思っていた女性さえ、かぐや 姫と比べるとみおとりがしました。 帝…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 13 帰るさのみゆき物憂くおもほえて そむきてとまるかぐや姫ゆえ かぐや姫が、帝に歌を返します。 むぐらはふ下にも年は経ぬる身の なにかは玉のうてなをも見む 帝は、かぐや姫の歌を詠み、すば らしい歌だと思いました。 帝…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 12 帝のことばを聞き、かぐや姫は姿 をあらわしました。 帝は、かぐや姫を連れて帰ること は無理だと思い、あきらめました。 でも、かぐや姫に対する気持をお さえることはできませんでした。 かぐや姫をみることができた帝…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 11 「そんなはずはない。私は、どん な手を使っても、連れていくつも りだ」 輿を邸につけている間に、かぐや 姫はすっと姿を消してしまいました。 「かぐや姫が、あっという間に、 消えてしまった。残念だ。姫がい うように…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 10 帝が、家の中へ入ってみると、美 しい姫が座っています。 今までみたことのない美しさでした。 帝は、奥へ逃げて行こうとするかぐ や姫の袖をつかまえ、そばに座らせ ました。 かぐや姫は、顔を袖で隠しています。 「許し…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 9 すると、帝が、 「翁の家は、山のふもとにあるそ うじゃな。狩りをするふりをして、 翁の家に寄り、かぐや姫をみるこ とはできるだろうか」 「それはいい考えかもしれません。 娘がぼんやり何か考えている時に、 急においで…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 8 「世間体のことなど、どうでもいい。 帝に、宮仕えができないと伝えて くる」 おじいさんは参内して、帝に姫の 気持を伝えました。 「娘を入内させようと何度も説得 しましたが、だめでした。もし、宮 仕えをさせるならば、…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 7 「姫、何をいうのだ。姫が死んで しまうなんて・・・。じいは、爵位な どいらない。でも、姫は、なぜ宮 仕えをしないのか。死ななくては ならない訳でもあるのかね」 「じい、私のいうことが、嘘だと 思うなら、私を宮仕え…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 6 「翁が育てたのに、なぜ思うように ならないのじゃ。かぐや姫を献上す れば、翁に五位の位をあげよう」 おじいさんは、帝の言葉を聞き、喜 んで家に帰りました。 「帝が、かぐや姫が宮仕えをしてく れたら、じいに五位の位…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 5 帝は、竹取りのおじいさんを呼び だし、命令しました。 「娘のかぐや姫を献上せよ。とて も美しい姫だと聞き使いをやった のに、その甲斐もなくかぐや姫に ことわられてしまった。このまま では、私の気持がおさまらない」 …

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帝のお召しに応じないかぐや姫 4 そのことばを聞いたかぐや姫は、 「私が、帝の命令にそむいたとい うのなら、私を殺していただいて けっこうです」といいました。 使者の房子は、内裏へ帰り、かぐ や姫のことばを帝に伝えました。 すると、帝が、 「それが…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 3 日頃は、実の子のように、姫に接 しているおばあさんでしたが、会 うのをいやがっている姫をみると、 強制することはできませんでした。 おばあさんは、使者の所へ戻り、 「申し訳ありません。娘は強情者 でして、お会いし…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 2 おばあさんは、姫の部屋へ行き、 使者のことばを伝えました。 「姫、早く支度をして、使者の かたに会いなさい」 「私は、美しくありません。だか ら、使者のかたには会いません」 「困ったことをいうね。姫、帝の 使者を、…

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帝のお召しに応じないかぐや姫 1 帝は、美しいかぐや姫のうわさを 聞き、内侍(ないし)中臣の房子 に命令しました。 「おおぜいの男の心を乱し、誰と も結婚しないかぐや姫は、どんな 女性なのか。かぐや姫の家へ行き、 じっくり見てきなさい」 使者の房子…

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石上の中納言と燕の子安貝 13 かひはかくありけるものをわびはてて 死ぬる命をすくひやはせぬ 中納言は、かぐや姫に返歌を書 き終えると、ぐったりしてなくなっ てしまいました。 かぐや姫は、中納言が亡くなった ことを知り、気の毒に思いました。 そのこ…

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石上の中納言と燕の子安貝 12 中納言の様子を聞き、かぐや姫は お見舞いの歌を送りました。 年を経て浪立ち寄らぬ住の江の まつかひなしと聞くはまことか 家来が、かぐや姫の歌を読んでき かせると、中納言は気力が弱って いたが、頭をもたげて、かぐや姫 …

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石上の中納言と燕の子安貝 11 子安貝ではないとわかった中納 言は、いっそう気分が悪くなり、腰 が折れて動けなくなってしまいま した。 中納言は、こどもっぽいことをし て、失敗したことを人に知られた くないと思っています。 それが病のもとになって、…