2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

守屋山に黄金色の花が咲いた

[童話]守屋山に黄金色の花が咲いた 守屋山に黄金色の花が咲いた 2 「兄ちゃんが一日も早くよくなりますように。昔のや さしい兄ちゃんになれますように…」 少女は明神さまに、毎日兄のことをお願いしてい たのです。 しかし兄は少しもよくなりませんでした…

守屋山に黄金色の花が咲いた

[童話]守屋山に黄金色の花が咲いた 守屋山に黄金色の花が咲いた 1 明神さまが住んでおられる守屋山には、雪がと けるころ、黄金色の花が咲くといういいつたえが ありました。 黄金色の花をみた人は、一生幸せに暮らせるそ うです。 春になると、おおぜいの…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 24 おかあさんにはわかりました。 まゆに黄金色のまゆ玉をくださったのは、守屋山 に住んでおられる風の神様だったのだと。 そしてまゆのことを毎日しっかり守ってくださって いたのも、風の神様…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 23 その時です。 お守りにしていたまゆ玉の中から、黄金色の「が」 が何万匹と飛び出しました。 黄金色のがは、守屋山に向かって飛んでいきます。 そして、空には、大きな黄金色の虹がかかりまし…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 22 八月八日午後。 夕立がやんだので、おかあさんはまゆをだいて、 外に出ました。 まゆが下におろしてほしいとせがむので、まゆを 下に下ろしました。 するとどうでしょう。 まゆが何もつかまら…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 21 でも、夢ではありません。 まゆがはいはいして、おかあさんの胸の中にとび こんできたのです。 「まゆ、よかったねー。おめでとう。やっとはいは いができるようになったのね」 おかあさんの…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 20 まゆは、三才になりました。 まゆは、まだねがえりができません。 ぺたんとねているだけです。 まゆ玉は少しずつですが、白くなっていました。 ある日、おかあさんは、まゆ玉の上の方が、黄金…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 19 その夜、まゆ玉をみたおかあさんは、どきりとしま した。 まゆ玉が、赤黒い色に変わっていたのです。 ぞっとするような、気持の悪い色でした。 まゆの顔をみると、ひたいには青すじがたち、い…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 18 でも、まゆは、ぺたんとねているだけです。 ねがえりすらうてません。 おかあさんは、よそのこどもをみるたびに、胸がちく りと痛みます。 そんなある日。 「この家の子ね、まゆちゃんていう…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 17 一方、風の神様も、毎日まゆのことを心配していま した。 「あーあ、せっかくのまゆ玉が、あんなに真っ黒に なってしまって…。かなしいのー。いつになったら、 黄金色のまゆ玉にもどるのだろ…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 16 まゆができることは、やさしいことばをかけると、うれし そうににっこりとほほえむだけでした。 「まゆ、おはよう。元気かな。今日はとても良い天気だよ」 「まゆ、散歩に行こうね。外は気持…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 15 その夜、おとうさんとおかあさんは、まゆのことにつ いて話し合いました。 二人はまゆに、これからもできる限り、やさしいこと ばをかけようと決めたのです。 遠くに住んでいるおばあさんも、…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 14 まゆのひとみをみたおかあさんは、はっとしました。 いつもきらきら輝いているまゆのひとみが、とても暗 かったのです。 こんな暗いまゆのひとみをみたのは、初めてでした。 「まゆ、ショック…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 13 「なんでまゆが…なんでまゆが…」 おかあさんは、次のことばがでません。 おかあさんは、まゆをしっかり胸にだくと、とぼと ぼと家に帰りました。 どこをどう歩いて家にもどったのか、思い出すこ…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 12 一カ月がすぎました。 おかあさんはまゆをつれて、一カ月検診に行き ました。 すると、医者がいいました。 「まゆちゃんは生まれた時、なかなかおぎゃー と泣きませんでしたね。 今日はおかあさ…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 11 「あなたの名前は、まゆよ。いい名前でしょ。こ のまゆ玉のように美しく、やさしい人になってね」 そういいながら、おかあさんは、まゆ玉を女の子 の枕元におきました。 女の子は、まゆ玉をみ…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 10 「まあ、小さなまゆ玉だこと。でも、なんて美しい まゆ玉なの。こんなまゆ玉は、みたことがないわ。 だれがおいていったのかしら」 おばあさんはまゆ玉を手にのせると、娘とまごの いる部屋へ…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 9 とくに、この頃は、人々にやさしさがなくなり、 「自分さえよければ、他人はどうなってもよい」と いう人がほとんどです。 だから、ニ千年位たたないと、黄金色のまゆ玉 は手にはいらなかったの…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 8 風の神様は、守屋山でかいこをかっていました。 かいこからは、毎年沢山のまゆ玉がとれました。 真っ白いまゆ玉です。 風の神様が住んでおられる守屋山には、こんない いつたえがありました。 …

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 7 「そうそう、かんじんなことをいい忘れるところじゃっ た。実は、わしが大切にしている例のまゆ玉を、女 の子の家においてきたのでそのつもりでな」 「風の神様、例の黄金色のまゆ玉でございま…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 6 「女の子も助かったし、さてわしも社に帰って休む としよう」 神様はまた風になって、守屋山に帰りました。 「小桜姫、小桜姫。聞こえるかな。風の神じゃ。伊 那谷の女の子は、あぶない所で助か…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 5 「女の子よ、助かって本当によかったのー。もうだ めかとわしも心配したぞ」 神様は、ほっと胸をなでおろしました。 女の子のことを心もとなく思った神様は、そでの中 から、まゆ玉をとりだしま…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 4 しかし、女の子は、なかなかうぶ声をあげません。 「だめかもしれんのー」 でも、神様は、「女の子よ、がんばれよ。がんばるの じゃ」と、女の子をはげましつづけました。 どのくらいの時間がす…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 3 「どうもあの家らしい」 神様は、光っている家をめがけておりていきました。 「どうか赤ちゃんを…どうか赤ちゃんを助けてくださ い。お願いします」 「神様、どうか孫を助けてくださいませ」 「…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 2 「風の神様、風の神様。小桜でございます。たった 今、伊那谷に女の子が生まれたのですが、おぎゃー と泣きません。その子は、私の国から、ある大切な 使命を持って、そちらの国へ行った者です…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 1 五月十日。 からりと晴れたさわやかな日でした。 「ぴゅー、ぴゅーー」 気持の良い風が、諏訪盆地を通りすぎていきます。 風の神様は、いつものように諏訪湖のまわりをひと まわりして、たった…

赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花 赤い夕顔の花 60 「うー、わんわん」 突然、犬坊の目の前に、犬があらわれました。 白と黒のまだらな犬でした。 犬は、犬坊に向かって飛びかかってきました。 犬坊は、とっさにやりをかまえました。 すると、その犬の顔が、城主の盛永…

赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花 赤い夕顔の花 59 私は、盛永さまが誰よりも私を愛してくれている と思っていた。 でも、盛永さまが愛していたのは、私ではなく奥 がたのお万さまだったのだ。 だから、私は、しっとのあまり盛永さまをやりで刺 し殺してしまったのだ。 …

赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花 赤い夕顔の花 58 その頃。 城主の盛永を、やりで刺し殺してしまった犬坊は、 むゆう病者のように、ふらふらと山の中をさまよっ ていました。 どこをどう歩いたのか、犬坊は思い出せませんで した。 疲れはてた犬坊は、木の切り株に腰を…