2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

古事記神話「山の神と海の神の娘」

豊玉比売 2 侍女が水をくもうとした時、井戸 の中がぴかっと光りました。 「何だろう」 ふしぎに思った侍女が上をみると、 桂の木に青年がいました。 「水を一杯いただきたいのですが」 山彦は、侍女にお願いしました。 「どうぞ」 侍女は水をくみ、山彦に…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

豊玉比売 1 しばらく行くと、大きな宮殿が みえてきました。 「あれが、海の神様の宮殿にちが いない」 山彦は、ほっとしました。 宮殿についた山彦は、桂の木を探し その木に登り、海の神様の娘がやっ てくるのをじっと待ちました。 一時間後。 海の神様の…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

海彦山彦 11 そうすれば、海の神様の娘がそなた をみつけてくれるだろう。 そして、 相談にのってくれるだろう」 「ありがとうございました。 では、 海の神様の所へ行ってきます」 「山彦よ、気をつけていくのじゃよ」 塩椎神は、山彦の姿がみえなくなる …

古事記神話「山の神と海の神の娘」

海彦山彦 10 「さあ、この舟に乗りなさい。 わしが舟を押すから、しばらくそ のまままっすぐに行きなさい。 そうすれば、よい潮の道がある。 その道にそって行けば、魚の鱗の ように並んだ大きな宮殿がある。 それが、綿津見神の宮殿じゃ」 「綿津見神とは…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

海彦山彦 9 自分の剣でたくさんのつり針をつ くり、許しをこうたのですが許し てくれません。 元のつり針でな くてはだめだといって、つり針を 受け取ってくれないのです」 「そうか。そんなことで悩んでい たのか。 わしにいい考えがある」 「ほんとうです…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

海彦山彦8 つり針をなくしたことは悪いけれ ど、かわりのつり針を受け取って くれてもいいじゃないか。兄さん のいじわる」 山彦は、海に向かってつぶやきま した。 そこへ、塩椎神(しおつちのかみ) が通りかかりました。 「山彦よ、なにを嘆いているのじ…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

海彦山彦 7 山彦は、また別の剣で千本のつり 針を作り、海彦に渡しました。 「兄さん。どうかこのつり針で許 してください」 「許さん。 元のつり針でなくては だめだ」 そういって、海彦はつり針を受け 取りませんでした。 そんなある日。 山彦はまた海へ…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

海彦山彦 6 「つり針がみつかるまで、毎日 海へ行って探してこい」 海彦は許してくれません。 山彦は毎日海へ行き、つり針を 探しました。 でも、つり針はみつかりません。 山彦は、自分の長い剣をこわし、 五百本のつり針をつくり海彦に わたしました。 「…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

海彦山彦 5 「何、つり針をなくしたと。 あの つり針は、おれが一番大切にして いるものだ。 許さん。 明日、 海へ行って、つり針をさがしてこい」 海彦が大声で怒りました。 次の日。 山彦は海へ行き、つり針を探して 歩きました。 でも、つり針はみつ か…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

海彦山彦 4 「どうしよう。あのつり針は、兄 さんが大切にしているもの。おこ るだろうな」 山彦は、しょんぼりして家に帰り ました。 海彦も、一日中、山の中を歩きま わりましたが、一匹も獲物をとる ことができませんでした。 「山彦。おれのつり道具を…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

海彦山彦 3 「やってみなくてはわからないだろ」 山彦がうるさくいうので、二人は道 具を取り換えることにしました。 山彦は、兄が大切にしているつり道 具を持ち、わくわくしながら海へで かけて行きました。 ところが・・・。 何時間たっても、一匹も魚が…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

海彦山彦 2 一方、山彦は山へ行き、猟をして います。 きじ・鹿・いのしし・うさぎなど の、獣をとることが上手でした。 ある日。 「兄さん。たまには山へ行って、 きじや鹿をとってみないかい」 「おれは、狩りはできない。いやだ」 海彦は、ことわりまし…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

海彦山彦 1 木花之咲夜比売(このはなのさく やひめ)が、火の中でうんだ三人 のこどもたちは、りっぱな若者に なりました。 兄の火照命(ほでりのみこと)は 海彦、弟の火遠理命(ほをりのみ こと)は山彦とよばれています。 海彦は毎日海へ行き、鯛やひら…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

木花之佐久夜比売 14 兄の火照命(ほでりのみこと)は 海彦、弟の火遠理命(ほをりのみ こと)は、山彦とよばれています。 無事に出産をおえた木花之佐久夜 比売は、邇邇芸命の疑いを晴らす ことができました。 しかし、木花之佐久夜比売は、二 度と邇邇芸…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

木花之佐久夜比売 13 そして、こどもが生まれる直前、 その家に火をつけたのです。 燃えさかる火の中で、木花之佐久 夜比売は、三人のこどもを生みま した。 火照命(ほでりのみこと)・火須 勢理命(ほすせりのみこと)・火 遠理命(ほをりのみこと)の三…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

木花之佐久夜比売 12 もし国津神のこどもであれば、こ どもは無事に生まれないでしょう」 木花之佐久夜比売は、きっぱりいい ました。 邇邇芸命は、「誰のこどもかわか らん」と、小声でつぶきました。 そんな邇邇芸命をみて、木花之佐 久夜比売は悲しく思…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

木花之佐久夜比売 11 すると・・・。 「木花之佐久夜比売よ。 私は、 あなたとは一晩しか一緒にすごし ていません。 だから、お腹のこ どもは、私のこどもではありません。 あなたが以前につきあっていた国 津神のこどもではありませんか」 邇邇芸命は、冷…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

木花之佐久夜比売 10 しばらくして、邇邇芸命が旅から 帰ってきました。 「邇邇芸命さま、お帰りなさい。 私のお腹の中には、あなたのこど もがおります。 もうすぐこども が生まれます。 この子は天の御子さまのこどもで すので、あなたにだまって生むわ …

古事記神話「山の神と海の神の娘」

木花之佐久夜比売 9 だから、邇邇芸命さまの命は、桜の 花が散るようにはかなく散ってしま うでしょう」と。 そんなわけで、現在に至るまで、天 皇の寿命は長くありません。 その日。 邇邇芸命と木花之佐久夜比売は、結 婚しました。 二人は、楽しい時間を…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

木花之佐久夜比売 8 大山津見神は、残念に思いました。 そして、自分の気持を使者に伝えま した。 「私が娘二人をさしあげたわけは、 石長比売を妻にすれば、邇邇芸命 さまの命は、岩のように永遠に長 く続くことでしょう。 木花之佐久夜比売を妻にすれば、…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

木花之佐久夜比売 7 「妹は桜の花のように美しいのに、 なぜ姉は醜いのだろう。あの二人、 本当に血のつながった姉妹なのだろ うか。 私は、一時間でも、いや五分でも、 石長比売とは一緒に暮らすことは できない」 邇邇芸命は、石長比売を大山津見 神の元…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

木花之佐久夜比売 6 すると。 大山津見神はたいそう喜び、「姉 の石長比売も一緒にもらっていた だけないでしょうか」といいました。 そして、二人の娘とともに、たく さんの宝物を台車にのせ、邇邇芸命 に贈りました。 石長比売をみた邇邇芸命は、驚き ま…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

木花之佐久夜比売 5 「邇邇芸命は、高天原の天照大御 神さまの孫でございます」 「どんな要件でしょうか」 「さきほど、邇邇芸命は、海岸で 木花之佐久夜比売さまにお会いし たそうです。 そして、一目ぼれ してしまったのです。 そんなわけで、木花之佐久…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

木花之佐久夜比売 4 返事は、父からお聞きください。 急いでおりますので失礼します」 そういうと、木花之佐久夜比売は、 足早に去っていきました。 邇邇芸命はやしきへ戻ると、早速 木花之佐久夜比売の父・大山津見 神に、使者をおくりました。 「私は、邇…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

木花之佐久夜比売 3 「突然ですが、私の妃になってい ただけませんか」 「えっ、妃に? たった今、お会 いしたばかりですよ。 それに、 あなたの名前も知りませんし」 「失礼しました。私は、邇邇芸命。 高天原にいる天照大御神の孫です」 「天照大御神さま…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

木花之佐久夜比売 2 「木花之佐久夜比売さまですか。 美しいかただ」 すると・・・。 木花之佐久夜比売は、はずかしそ うに下をむいてしまいました。 「兄弟は何人ですか」 「姉が一人います」 「名前は?」 「石長比売(いわながひめ)といい ます」 「石…

古事記神話「山の神と海の神の娘」

1 木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ) 木花之佐久夜比売 1 邇邇芸命(ににぎのみこと)は、 大国主命から譲られた葦原中国を 統治するため、高天原から降りて きました。 ある日。 邇邇芸命が、笠沙の岬を歩いている と、向こうから娘がやってきま…

諏訪の神話「明神さまの弓」

明神さまの弓 32 「明神さま。私に力を貸していた だきありがとうございました」 たけるの声が、湖にひびきわたり ました。 「気をつけて、東方の国へ行くの じゃよ」 どこからか厳かだが優しい明神さま の声が聞こえてきました。 おわり

諏訪の神話「明神さまの弓」

明神さまの弓 31 「あっはっはぁー」 老人の笑い声が、森の中にひびき わたりました。 その森は、諏訪明神の社の森でした。 明神さまは、湖の神に命じ、弓に 姿を変え、たけるが城にたてこも っている賊を討つのを助けたのです。 つづく

諏訪の神話「明神さまの弓」

明神さまの弓 30 頭が二つ、体が一つの双頭の大蛇 でした。 「これが、弓の正体じゃ」 厳かな声が聞こえてきました。 大蛇は、ぶるっと、大きく頭をふる と、帯を引っ張りました。 すると、湖を二つに分けるほどの、 大きな弓になりました。 「どうじゃな…