2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 7 大国主命は、その夜も、そのきれ でむかでや蜂を追いはらい、ぐっ すり眠ることができました。 須勢理比売のおかげでした。 二度の試練を無事にきりぬけた大国 主命をみて、「しぶといやつじゃ。 よーし、今度こそみておれ」と、命 は次の…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 6 次の朝。 さっそうとあらわれた大国主命 をみて、命は「なぜ生きている のじゃ」と、小声でつぶやきま した。 その日の夜。 命は、むかでと蜂がいっぱい入っ ている室へ、大国主命をつれてい きました。 「今夜は、ここで寝るがいい」 そ…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 5 須勢理比売がでていくと、たくさ んの蛇がかま首をもたげ、いっせ いに大国主命にむかってきました。 蛇が嫌いな大国主命は、気絶しそう でした。 夢中で、きれを三度ふりました。 すると、蛇たちは急におとなしくな り、部屋のすみへひき…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 4 「今夜は、ここで寝るがいい」 「えっ、ここで・・・」 「そうじゃ」 命は、はきすてるようにいうと、 さっさと室をでていってしまい ました。 心のやさしい須勢理比売は、大国 主命を気の毒に思い、比札といっ て肩かけのようなきれをそ…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 3 「娘は、この青年が気にいったの だな」 しかし、命は、大国主命をみてい るうちに、だんだん腹がたってき ました。 「気にいらん」 命は、小声でつぶやきました。 「こんな男に、だいじな娘をとら れてたまるか」 そう思った命は、大国主…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 2 「お父さま。玄関に、美しい青年が 訪ねてきています」 「何、美しい青年だと」 命は玄関へ行き、大国主命をじろり と観察しました。 玄関に立っていたのは、清らかな瞳 をした好青年でした。 「大国主命でございます」 「おまえが、大国…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 1 大国主命は、木国の大屋毘古神 (おおやびこのかみ)を訪ね、地 底の国・根堅州国(ねのかたすくに) へ行く道を教えてもらいました。 やっと根堅州国へ着きました。 「須佐之男命さまのお宅でしょうか」 「はい、そうですが」 出てきたの…

古代出雲の王 大国主命

八岐大蛇 10 宮殿を建てた時、雲がもくもくと 立ちあがったそうです。 その時に、命が詠んだ歌。 八雲たつ 出雲八重垣 妻隠みに 八重垣作る その八重垣を 命は、義父の足名椎(あしなづち)を よび、 「わしの宮殿の長官になってほしい。 これからは、稲田…

古代出雲の王 大国主命

八岐大蛇 9 八岐大蛇を退治した命は、櫛に なっている櫛名田比売を、元の 姿に戻しました。 「助けていただきありがとうご ざいました」 櫛名田比売は、うれしそうにお 礼をいいました。 その日。 二人は、結婚しました。 命は、出雲の国に、櫛名田比売 と…

古代出雲の王 大国主命

八岐大蛇 8 尾を切り刻んでいた時、「かちん」 という音がして、剣の先が欠けて しまいました。 「何にあたったのだろう」 命が尾を切り開いてみると、立派な 太刀が出てきました。 後日。 命は、その太刀を、天照大御神に献 上しました。 その太刀が、後に…

古代出雲の王 大国主命

八岐大蛇 7 八岐大蛇は、八つの酒桶に頭をつっ こむと、うまそうに酒を飲み始めま した。 酒を飲みよっぱらった八岐大蛇は、 「どーん」という大きな音をたて倒 れてしまいました。 そして「ぐわぁーぐわぁ」と大きな いびきをかき寝てしまいました。 命は…

古代出雲の王 大国主命

八岐大蛇 6 老夫婦は、いわれたように強い酒を 造り、八岐大蛇を退治する準備をし ました。 準備ができると、命たちは八岐大蛇 がやってくるのを待ちました。 数日後。 空一面に黒い雲があらわれたかと思う と、雷がなりだしました。 ぴかっと稲光も。 不気…

古代出雲の王 大国主命

八岐大蛇 5 命は、改めて櫛名田比売(くしなだ ひめ)の顔をみました。 やさしそうな美しい娘でした。 命は、櫛名田比売の肩にそっと手を かけると、櫛に変身させました。 そして、八岐大蛇にみつからないよ うに、櫛を自分の髪にさしました。 命は、老夫婦…

古代出雲の王 大国主命

八岐大蛇 4 「そのかわりといってはなんだが・・・、 そちの娘をわしにいただきたい」 「おそれいります。 でも、まだ あなたの名前を聞いておりません ので」 「わしは、須佐之男命」 「須佐之男命さま?」 「そうだ。高天原にいる天照大御神 (あまてらす…

古代出雲の王 大国主命

八岐大蛇 3 「八岐大蛇は、どんな姿をしてい るのじゃ」 「それはもう恐ろしい怪物で。 目は、ホオズキのように真っ赤。 一つの体に、頭と尾が八つ。 体には、桧や杉の木がはえていて、 こけがびっしり。 長さは、八つ の谷と八つの山ほど。 腹には血がつい…

古代出雲の王 大国主命

八岐大蛇 2 すると、一軒の家がありました。 中へ入ると、老夫婦が娘を囲み泣い ています。 「おまえたちは、何者じゃ」 「わしは、国津神・大山津見の子で、 足名椎(あしなづち)。妻は、手名椎 (てなづち)。 娘は、櫛名田比売 (くしなだひめ)といい…

古代出雲の王 大国主命

八岐大蛇 1 高天原で大あばれをした須佐之男命 (すさのおのみこと)は、神様たち によって、下界へ追放されてしまい ました。 須佐之男命が降りた所は、出雲の国 肥の河のほとり、鳥髪。 命がぼんやり川をながめていると、 上流からはしが流れてきました。…

古代出雲の王 大国主命

赤い猪 7 「これ以上、おまえをここにおいて おくわけにはいかない。 すぐに、 須佐之男命(すさのおのみこと)さま が住んでいる根堅国(ねのかたくに) へ逃げなさい。 そうすれば、須佐之男命さまがいい ようにとりはからってくれるでしょう。 根堅国へ…

古代出雲の王 大国主命

赤い猪 6 そして、いやがる大国主命をその 切れ目に押しこみ、はさみ殺して しまったのです。 おかあさんは、大国主命の姿がみ えないので、あちこち探して歩き ました。 山の中で、木の切れ目にはさまれ 死んでいる大国主命をみつけました。 おかあさんは…

古代出雲の王 大国主命

赤い猪 5 すると・・・。 ふしぎなことに、大国主命の重い やけどがなおり、元通りの美しい 青年に生まれ変わりました。 その様子を遠くからみていた八十神 たちは、「生き返ったのか」とくや しがりました。 八十神たちは、大国主命を殺そうと、 再び相談…

古代出雲の王 大国主命

赤い猪 4 二人は、蘇生の特殊能力を持って いる女神でした。 二人が下界へつくと、大国主命は まっ黒こげになって倒れていました。 すでに息はありません。 赤貝は自分の殻をけずり、それを 焼いて黒い粉をつくりました。 蛤は体液を出し、その黒い粉をこ …

古代出雲の王 大国主命

赤い猪 3 「あっ」 声をあげた時には、大国主命の体は、 赤く焼けた石のはだにこびりついて しまいました。 大国主命は、焼け死んでしまったの です。 そのことを知った大国主命のおかあ さんは、嘆き悲しみました。 泣きながら大空へかけのぼっていき、 高…

古代出雲の王 大国主命

赤い猪 2 そして、火の中へ、猪の形をした 大きな石を投げこみました。 しばらくすると、石が真っ赤に焼 けました。 「それー、猪だ。つかまえろ」 八十神たちは、真っ赤に焼けた石を、 山の上から落としました。 石は、ごろんごろんところがってい きます…

古代出雲の王 大国主命

赤い猪 1 八十神たちは、大国主命を殺そうと、 伯岐(ほうき)の国手間の山へつれ ていきました。 「この山には、赤い猪がいる」 「赤い猪?」 「そうだ、赤い猪だ。わしらが山の 上から猪を追い落とすから、おまえ は下にいて、その猪をつかまえろ。 もし…

古代出雲の王 大国主命

いなばの白うさぎ 8 ところが・・・八上比売(やかみ ひめ)は、 「私は、あなたたちの妻にはなり ません。 私は、大きな袋を背負っ ている大国主命さまの妻にしてい ただきます」といいました。 八上比売のことばを聞いた八十神 たちは、おこりました。 「…

古代出雲の王 大国主命

いなばの白うさぎ 7 「あんな意地の悪い八十神たちは、 八上比売(やかみひめ)を妻にす ることはできません。 八上比売は、きっとあなたのお嫁 さんになりますよ。 みていてご らんなさい」と。 うさぎは、蒲の穂をたくさん集め ました。 そして、その上で…

古代出雲の王 大国主命

いなばの白うさぎ 6 そういうと、うさぎは「うわーん、 わーん。 痛いよ、痛いよー」と、 大声で泣きだしました。 うさぎの話を聞いた大国主命は、 かわいそうに思いました。 「川口へ行き、真水で体をよく 洗いなさい。 そして、蒲の穂を たくさん集め、そ…

古代出雲の王 大国主命

いなばの白うさぎ 5 そして、もう一足で岸へあがろうと した時、ゆだんして大声でさけんで しまったのです。 「やーい、やい。まぬけな鰐め。 うまくだまされたな。 わしは、ただ 本土へ渡りたかっただけだ」と。 すると、最後に並んでいた鰐が怒って、 い…

古代出雲の王 大国主命

いなばの白うさぎ 4 「どうやって、鰐をだましたのじゃ」 「おまえとわしの仲間、どちらが多い か、比べてみようじゃないか。 あの気多の岬まで、一列に並んでごら ん。 そうすれば、わしが数を数えて やるから」 鰐にそういったのです。 鰐(わに)たちは…

古代出雲の王 大国主命

いなばの白うさぎ 3 八十神たちのことばを信じたうさぎ は、早速海につかりました。 ずぶぬれになったうさぎは、よたよ たしながら山へ登り、そこで寝ころ んでいました。 ところが・・・。 海の水がかわくにつれ、体中の皮が ひきつり、びりびりさけました…