木花之佐久夜比売 １６ 兄の火照命（ほでりのみこと）は、 海幸彦。 弟の火遠理命（ほをりのみこと）は、 山幸彦とよばれています。 無事に出産をおえた木花之佐久夜比 売は、邇邇芸命の疑いをはらすこと ができました。 その後。 木花之佐久夜比売は、二度…

木花之佐久夜比売 １５ そして、こどもが生まれる直前に、 その家に火をつけたのです。 燃えさかる火の中で、木花之佐久夜 比売は三人のこどもをうみました。 火照命（ほでりのみこと）・火須勢 理命（ほすせりのみこと）・火遠理 命（ほをりのみこと）の三…

木花之佐久夜比売 １４ 邇邇芸命は、「誰のこどもかわか らん」と小声でつぶきました。 そんな邇邇芸命をみて、木花之佐 久夜比売は悲しく思いました。 木花之佐久夜比売は、出産をする ため戸のない広い御殿に入り、出 入口をすべて土でぬってふさぎま した…

木花之佐久夜比売 １３ 「私は、今まで邇邇芸命さまとし かおつきあいをしたことがありま せん。 だから、お腹のこどもは、 まちがいなくあなたのこどもです。 もし国津神のこどもであれば、こ どもは無事に生まれないでしょう」 木花之佐久夜比売は、きっぱ…

木花之佐久夜比売 １２ すると。 「木花之佐久夜比売よ。 私は、 あなたとは一晩しか一緒にすご していません。 だから、そのこどもは、私のこど もではありません。 あなたが以前 につきあっていた国津神のこどもで はありませんか」 邇邇芸命は、冷ややか…

木花之佐久夜比売 １１ しばらくして、邇邇芸命が旅から 帰ってきました。 「邇邇芸命さま、おかえりなさい。 私のお腹には、あなたのこどもが います。 もうすぐこどもが生ま れます。 この子は天の御子さまのこどもで すので、あなたにだまって生むわ けに…

木花之佐久夜比売 １０ その日。 邇邇芸命と木花之佐久夜比売は、 結婚しました。 その夜。 二人は楽しい時間をすごしました。 次の朝。 邇邇芸命は、反乱をくりかえす国を 平定するため、遠くの国へ旅だって いきました。 二人が一緒にすごしたのは、たった…

木花之佐久夜比売 ９ 木花之佐久夜比売を妻にすれば、 桜が美しい花を咲かせるように、 邇邇芸命さまは栄えることでしょ う。 こんな願いをこめて、私は 二人の娘をさしあげました。 でも、邇邇芸命さまは、木花之佐 久夜比売だけを妻にしました。 だから、…

木花之佐久夜比売 ８ 私は、一時間でも、いや五分でも、 石長比売とは一緒に暮らすことは できない」 邇邇芸命は、石長比売を大山津見 神の元へ送り返しました。 大山津見神は、残念に思いました。 そして、自分の気持を、使者に伝え ました。 「私が、娘二…

木花之佐久夜比売 ７ そして、二人の娘とともに、たく さんの宝物を台車にのせ、邇邇芸 命に贈りました。 石長比売をみた邇邇芸命は、驚き ました。 石長比売は、岩のようにごつごつ した醜い顔をしていたからです。 「妹は、桜の花のように美しいの に、姉…

木花之佐久夜比売 ６ そして、一目ぼれしてしまったの です。 そんなわけで、木花之佐 久夜比売さまを邇邇芸命の妃にい ただきたいのですが」 使者は、邇邇芸命の気持を、大山 津見神に伝えました。 すると。 大山津見神はたいそう喜び、「姉の 石長比売も一…

木花之佐久夜比売 ５ 邇邇芸命はやしきへ戻ると、早速 木花之佐久夜比売の父・大山津見 神に、使者をおくりました。 「私は、邇邇芸命のつかいのもの です」 「邇邇芸命さま？」 「邇邇芸命は、高天原の天照大御 神さまの孫です」 「どんな要件でしょうか」 …

木花之佐久夜比売 ４ 「えっ？ たった今、お会いした ばかりですよ。 それに、あなた の名前も知りませんし」 「失礼しました。 私は、邇邇芸命。 高天原にいる天照大御神の孫です」 「天照大御神さまのお孫さまとは。 びっくりしました。 返事は、父か らお…

木花之佐久夜比売 ３ 「兄弟は何人ですか」 「姉が一人います」 「姉さんの名前は？」 「石長比売（いわながひめ）と いいます」 「石長比売だなんて・・・、変な 名前。美人なのだろうか」 邇邇芸命は、心の中でそっとつぶ やきました。 「突然ですが、私の…