2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 25 「どの竜も、体の色が変わるのですか」 「いや、中には、ずっと黒いままの竜もいる。どれく らい修行をしたかによって、体の色が変わってくる のじゃ」 「おじいさん。最後は、どんな色になるの」 「最後の色…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 24 「おじいさん。どの竜も、おじいさんのような色をして いるのですか」 「いや、生まれたばかりの竜は、茶色じゃ。竜の赤ち ゃんは、かわいいよ。小さなうちは、おかあさんのもと で育てられる。少し大きくなる…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 23 「ああ、いるとも。大昔は、どの人も、かなのように心 が美しかった。疑うことを知らない、むじゃきな人ば かりだったのじゃ。だから、竜の姿をみることができ た。どの人も、神様と話をすることができたのだ…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 22 かわりに、さっきのおじいさんが、にこにこしながら 近づいてきました。 「わしは、諏訪地方を守っている竜神じゃ。今日は、 かなに竜の姿をみせてあげようと思って、諏訪湖か らやってきたのじゃ」 「私のた…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 21 長さは、かなの身の丈の五倍以上あるでしょうか。 大きな美しい竜でした。 「わぁ、竜だぁー! しらかば湖には、竜がいたん だぁ」 かなは、びっくりして大声でさけびました。 竜は、だんだんに近づいてきます…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 20 「がばっ」 「がば、がばっ」 「ばしゃっ」 遠くで大きな音がしました。 そして、湖に大きな波がたちました。 「なんだろう?」 みると、湖のむこうから、竜らしきものが近づいてき ました。 うすい黄色の竜で…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 19 「いぬのふぐりの花が、咲きはじめたころかしら」 「そうか。かなは、しらかばたちが話をしているのを、 聞いてしまったのか。わしも、しらかばたちとよく話を する。しらかばがね、この村には湖が大好きな少…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 18 「それはそうと、かなは、今でも湖に竜がいると信 じているのかな」 「はい、信じています。私は、しらかば湖に、竜が いるのではないかと思っています」 「なぜ、竜がいると思うのかね」 「私、湖のほとりで…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 17 『あんなひどいことをされたのに、おまえは少しも兄 たちをにくんでおらぬ。なぜじゃ』、わしを助けてく れた神様は、そういったけれどね」 おじいさんは、湖につきおとされた時の様子を、話 してくれました。…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 16 「おじいさんは、なぜ兄さんたちにうらぎられたの」 「兄たちは、わしにやきもちをやいたのじゃ。 わしの妻は、村一番の・・・いや信州一の美しい人だ った。姿が美しいだけでなく、心の清いやさしい人だ った…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 15 「友だちは、なぜ気持がかわったのかな」 「みんなにいじめられたみたい。竜なんて、この世に いるはずないって。 そんなことを信じているなんて、 馬鹿じゃないかっていわれたらしいわ」 「そうか。友だちに…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 14 「わぁー、いい風!」 「いい風じゃのぅ」 二人は、同時にさけびました。 「かな。おまえは、信じていた人に、うらぎられたこと があるかな」 「はい」 「だれにうらぎられたのかね?」 「一番仲がよかった友…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 13 「かなちゃん。この村には、長い杖をついたおじいさん なんて、一人もいないよ。どこのひとかな」 みんなそういいます。 「じゃあ、私だけ、あのおじいさんをみているのかしら」 かなは、ふしぎに思いました。…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 12 「じゃあ、おじいさんは、しらかば湖に竜がいると思 う?」 「さあ・・・どう・・・じゃろな」 おじいさんは、なぜかこまったような顔をし、口ごも りました。 その後。 かなは、湖のほとりで、何度かおじいさ…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 11 「わしはのぅ、昔この村に住んでいたものじゃ。こ こは、のどかでいい所じゃのぅ。わしは、この村が 大好きじゃ。だから、ときどきここへ遊びにくる。 わしは、兄たちといっしょに、春はわらび、秋は栗 やきの…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 10 「三郎さまって、だれのことかしら。竜になった三郎の ことかな」 かなは、そう思いました。 それから、二週間がすぎました。 かなは、またしらかば湖へ行き、ぼんやり湖をながめ ていました。 「少女よ。おま…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 9 すると・・・。 どこからか、小さな声が聞こえてきました。 「だれかしら」 あたりをみまわしましたが、だれもいません。 耳をすませて聞いていると、こんな話し声が聞こえ てきました。 「しらかばさん。・・・…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 8 山深い村にも、ようやくあたたかな春がやってきま した。 湖のほとりでは、空色のいぬのふぐりの花が、咲き はじめました。 かなは、いぬのふぐりの花が大好き。 「かな、この空色の花はね、いぬのふぐりという…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 7 「この世に、竜なんているはずないじゃん」 「かなちゃん。湖に竜がいると思っているの。馬鹿 みたい」 友だちは、みんなそういいます。 「となりのかなちゃんは、しらかば湖に竜がいると信 じているようだわ」 …

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 6 「さあ、どんな姿をしているのだろうね。大きな角があ るとか、たくさんうろこがついているとか、美しい玉を 持っているとかいわれているが、とうちゃんにもわか らない。今夜、竜の絵をみせてあげよう」 おとう…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 5 三郎は、神様に許しをもらい、千日かけて、やっと の思いで村へもどってきました。 ところが、三郎は、なぜか竜になっていたのです。 こんなお話でした。 「とうちゃん。三郎は、なぜ竜になってしまったの」 「…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 4 三郎も、兄たちが大好きでした。 ところが・・・。 三郎があまりに美しい妻をもらったので、兄たちは 三郎にやきもちをやきました。 やきもちをやいた兄たちは、三郎を魚つりにさそい だし、湖の深いふちにつき…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 3 「さあなぁ。村には、竜がいるといういいつたえがある が、竜の姿をみた人はだれもいないからね。でも、し らかば湖には、竜がいるかもしれないよ」 おとうさんは、夢みるようにいいました。 「ねぇ、とうちゃん…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 2 「とうちゃん。今、なにか声が聞こえなかった?」 「いやー、なにも。なにか聞こえたかい」 「おっかあ、おっかあーという声が、聞こえたの」 「そうか。とうちゃんも、しらかば湖でつりをしていた 時、『おっか…

竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女 竜の姿をみた少女 1 たてしな山は、「諏訪富士」ともよばれ、大昔から佐 久や諏訪の人々に愛されてきました。 山のふもとに、美しい湖があります。 湖の名前は、しらかば湖。 音無川をせきとめてつくられた湖でした。 一月末のある…

ライオンめざめる

[童話]ライオンめざめる ライオンめざめる 19 「さあ、出発するぞぅ」 「うおー」 ライオンは高くほえると、空高くまいあがりました。 かなの家が、かなが住んでいる高原が、だんだん に小さくなり、とうとう見えなくなってしまいました。 かなたちは、い…

ライオンめざめる

[童話]ライオンめざめる ライオンめざめる 18 「そうだ。みんなでライオンを送って行こう。わしも近 いうちに西の国へ行きたいと思っていたところじゃ。 かなとりゅうも、いっしょにいこう。さあ、かな。りゅうを だいて、ライオンの背中へおのり」 神さま…

ライオンめざめる

[童話]ライオンめざめる ライオンめざめる 17 すると、ライオンが話しはじめました。 「王妃はかなしがって、小さくなった私を、金のロケ ットにしたのです。そして、王妃は、なくなるまで私 を大切にしてくれました」 ライオンは、やさしかった王妃をなつ…

ライオンめざめる

[童話]ライオンめざめる ライオンめざめる 16 「神さま、ライオンはなぜ小さくされてしまったので すか」 かなは、神様にたずねました。 「このライオンはのぅ、二千年くらい前、西の国の王 妃がかわいがっていたライオンなのじゃ。ある日、ラ イオンは魔…

ライオンめざめる

[童話]ライオンめざめる ライオンめざめる 15 「かな、さっき松虫草のまわりを舞っていたちょうは、 なんというちょうか知っているか」 「知りません。神さま、なんというちょうですか?」 「くじゃくちょうというのじゃ。この高原へきても、めっ たにくじ…