2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

古事記神話「古事記物語」

塩満珠と塩乾珠 4 山彦は、海彦が攻めてくるたび に、塩満珠を使い海彦を困らせ たのです。 「山彦。これまでのことを許して ほしい。 わしが悪かった。 これ からは、全力でおまえを守ってい く。 おまえの家来にしてほしい」 海彦がいいました。 それ以後…

古事記神話「古事記物語」

塩満珠と塩乾珠 3 海彦がやってくると、山彦は塩満 珠をとりだし、海彦をおぼれさせ ます。 「助けてくれー。 山彦、助けて くれ。 おれが悪かった。 もう しないから助けてくれ」 海彦が許しをこうと、塩乾珠をと りだし海彦を助けました。 つづく

古事記神話「古事記物語」

塩満珠と塩乾珠 2 「このつり針は、ぼんやりの針・ 猛り狂う針・貧しい針・役立たず の針」 山彦は小声でつぶやきながら、海 彦につり針を渡しました。 「山彦、何をぶつぶついっている のだ」 「何も」 その後。 海彦は、田に水がこないので、米 がとれな…

古事記神話「古事記物語」

塩満珠と塩乾珠 1 「兄さん。ただいま」 「山彦、どこへ行っていたのだ」 「兄さんのつり針を探していまし た。 やっとつり針がみつかりま した」 「ほんとうか」 「はい」 「兄さん。つり針を返すので、後 を向いてください」 「なぜ後を向くのだ」 海彦は…

古事記神話「古事記物語」

豊玉比売 14 海の神は、鰐の背中に山彦をのせ 見送りました。 その鰐は、約束通り、一日で山彦 を地上の国へ送りました。 鰐が帰ろうとした時、山彦は身に つけていた紐つきの懐剣をほどき、 鰐の背中に結びつけました。 「鰐よ、ありがとう。 気をつけて …

古事記神話「古事記物語」

豊玉比売 13 すると。 「わしは、十日」 「わしは、五日」 鰐たちが口々にいいました。 「わしは、一日で山彦さまを送り、 ここへ帰ってくることができます」 一尋鰐がいいました。 「じゃあ、おまえが、婿を送って あげなさい。 海原の真ん中を渡 る時に…

古事記神話「古事記物語」

豊玉比売 12 そのことを恨んで兄が攻めてきた ら、この塩満珠をとりだし、兄を おぼれさせなさい。 もし兄が助 けてくれといったら、塩乾珠をと りだし助けてあげなさい。このよ うにして、兄を困らせ苦しめなさい」 海の神は、塩満珠と塩乾珠の二つ の珠…

古事記神話「古事記物語」

豊玉比売 11 「このつり針を兄に返す時、こう いいなさい。 このつり針は、ぼ んやりの針・猛り狂う針・貧しい 針・役立たずの針といって、後ろ 手に兄にわたしなさい」 そして、続けていいました。 「兄が高い所へ田を作ったら、そ なたは低い所に田を作…

古事記神話「古事記物語」

豊玉比売 10 海の神は、すべての魚を集め、魚 たちに聞きました。 「婿のつり針をとった魚はいるか」 「鯛が喉に何かささって、物を食 べることができないとなげいてい ます」 「その鯛は、ここにいるか」 「おりません」 「その鯛をつれてきなさい」 海の…

古事記神話「古事記物語」

豊玉比売 9 海の神は、山彦にたずねました。 「昨晩、大きなため息をついて いたと、娘が心配しています。 何か心配ごとでもあるのか」 「私は、なくしてしまった兄のつ り針を探しに、ここへやってきま した」 山彦は、兄と道具の取り換えを して、つり針…

古事記神話「古事記物語」

豊玉比売 8 三年がすぎたある日。 山彦は、大きなため息をつきました。 「兄のつり針の件で、豊玉比売に相 談しようとここへ来たのに、そのこ とをすっかり忘れてしまっていた」と。 山彦のため息を聞いた豊玉比売は、 どうしたのだろうと心配しました。 豊…

古事記神話「古事記物語」

豊玉比売 7 「どうぞ、ここへお座りください」 海の神は、その敷物の上に、山彦 を座らせました。 そして、いろいろな海の幸を並べ、 山彦に御馳走しました。 「山彦さま。娘の豊玉比売をもら っていただけないだろうか」 海の神は、たくさんの結納品を、立…

古事記神話「古事記物語」

豊玉比売 6 「あのかたは、瓊瓊杵尊さまの御 子・山彦さまじゃ」 「瓊瓊杵尊さま?」 「瓊瓊杵尊さまは、天照大御神さ まの孫。 そのかたの御子が、山 彦さまじゃ」 「山彦さま、どうぞ中へ」 海の神は、山彦を宮殿の中へ案内 しました。 そして、海驢(あ…

古事記神話「古事記物語」

豊玉比売 5 背の高いりりしい青年が、にっこ り笑って立っていました。 「まあ、すてきなかた」 「なんてかわいい人だろう」 お互いに一目ぼれ。 豊玉比売は、父の海の神に知らせ ました。 「父上、宮殿の入口に、すてきな 青年がきております」 「どなたか…

古事記神話「古事記物語」

豊玉比売 4 「外に誰かいるのですか」 「はい。 桂の木の上に、立派な 青年がおります。 海の神のよう な、高貴な感じのするかたです。 そのかたが水を求めたので、水を さしあげました。 でも、そのかたは水を飲まずに、 玉を瓶にはきいれたのです。 玉 を…

古事記神話「古事記物語」

豊玉比売 3 山彦は水を飲まずに、首にかけて いた玉飾りをほどくと、口に玉を ふくみ瓶にはきいれました。 すると、玉が瓶の底にくっついて しまいました。 侍女は、その玉をとろうとしまし たがとれません。 しかたがないので、そのまま豊玉 比売に瓶を渡…

古事記神話「古事記物語」

豊玉比売 2 二時間後。 海の神の娘・豊玉比売の侍女が、 美しい瓶を持って水をくみにきま した。 侍女が水をくもうとした時、井戸 の中がぴかっと光りました。 「何だろう」 ふしぎに思った侍女が上をみると、 桂の木に青年がいました。 「水を一杯いただき…

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海彦山彦 11 「ありがとうございました。 では、 海の神の宮殿へ行ってきます」 「山彦よ、気をつけていくのじゃよ」 塩椎神は、山彦の姿がみえなくなる まで見送ってくれました。 海彦山彦の章 おわり 豊玉比売 1 しばらく行くと、大きな宮殿が みえてき…

古事記神話「古事記物語」

海彦山彦 10 「さあ、この舟に乗りなさい。 わしが舟を押すから、しばらくその まままっすぐに行きなさい。 そう すれば、よい潮の道がある。 その 道にそって行けば、魚の鱗のように 並んだ大きな宮殿がある。 それが、 綿津見神の宮殿じゃ」 「綿津見神…

古事記神話「古事記物語」

海彦山彦 9 自分の剣でたくさんのつり針をつ くり、許しをこうたのですが、兄 は許してくれません。 元のつり 針でなくてはだめだといって、つ り針を受け取ってくれないのです」 「そうか。そんなことで悩んでいた のか。 わしにいい考えがある」 「ほんと…

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海彦山彦 8 「兄さんは、なぜ大事な剣で作っ たつり針を、受け取ってくれない のだろう。 つり針をなくしたこ とは悪いけれど、かわりのつり針 を受け取ってくれてもいいじゃな いか。 兄さんのいじわる」 山彦は、海に向かってつぶやきま した。 そこへ、…

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海彦山彦 7 山彦は、また別の剣で千本のつり 針を作り、海彦に渡しました。 「兄さん。どうかこのつり針で許 してください」 「許さん。元のつり針でなくては だめだ」 そういって、海彦はつり針を受け 取りませんでした。 そんなある日。 山彦はまた海へ行…

古事記神話「古事記物語」

海彦山彦 6 「つり針がみつかるまで、毎日海 へ行き探してこい」 海彦は許してくれません。 山彦は毎日海へ行き、つり針を探 しました。 でも、つり針はみつかりませんで した。 山彦は、自分の長い剣をこわし、 五百本のつり針をつくり海彦にわ たしました…

古事記神話「古事記物語」

海彦山彦 5 「何、つり針をなくしたと。 あの つり針は、ただのつり針ではない。 その日とりたいと思っている魚が つれるふしぎな力を持っているつ り針なのだ。 許さん。 明日、 海へ行って、なくしたつり針をさ がしてこい」 海彦が大声で怒りました。 次…

古事記神話「古事記物語」

海彦山彦 4 その上、兄が大切にしているつり 針をなくしてしまったのです。 「どうしよう。 あのつり針は、 兄さんが一番大切にしているもの。 おこるだろうな」 山彦は、しょんぼりして家に帰り ました。 海彦も、一日中、山の中を歩きま わりましたが、一…

古事記神話「古事記物語」

海彦山彦 3 「やってみなくてはわからないだろ」 山彦が何度もうるさくいうので、二 人は道具を取り換えることにしました。 山彦は、兄が大切にしているつり道 具を持ち、わくわくしながら海へで かけて行きました。 ところが・・・。 何時間たっても、一匹…

古事記神話「古事記物語」

海彦山彦 2 一方、山彦は山へ行き、猟をして います。 きじ・鹿・いのしし・うさぎなどの、 鳥や獣をとることが上手でした。 ある日。 「兄さん。たまには山へ行って、き じや鹿をとってみないかい」 「おれは、狩りはできない。いやだ」 海彦は、ことわり…

古事記神話「古事記物語」

海彦山彦 1 木花之佐久夜比売(このはなのさ くやひめ)が、火の中でうんだ三 人のこどもたちは、りっぱな若者 になりました。 兄の火照命(ほでりのみこと)は 海彦、弟の火遠理命(ほをりのみ こと)は山彦とよばれています。 海彦は毎日海へ行き、鯛やひ…

古事記神話「古事記物語」

木花之佐久夜比売 12 兄の火照命(ほでりのみこと)は 海彦、弟の火遠理命(ほをりのみ こと)は、山彦とよばれています。 無事に出産をおえた木花之佐久夜 比売は、邇邇芸命の疑いを晴らす ことができました。 しかし、木花之佐久夜比売は、二 度と邇邇芸…

古事記神話「古事記物語」

木花之佐久夜比売 11 そして、こどもが生まれる直前、 その家に火をつけたのです。 燃えさかる火の中で、木花之佐久 夜比売は、三人のこどもを生みま した。 火照命(ほでりのみこと)・火須 勢理命(ほすせりのみこと)・火 遠理命(ほをりのみこと)の三…