2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

竹取物語

五人の求婚者への難題 4 「じい、何が難しいのでしょう。 私への愛情があれば、何も難しい ことはありません」 かぐや姫がいいました。 おじいさんは、「娘がこのように いっております。娘のいう品を持 ってきてみせてください」と、五 人に伝えました。 …

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五人の求婚者への難題 3 安倍御主人には、「唐土にあると いう火鼠の皮衣を」。 大伴の大納言には、「龍の頸に、 五色に光る玉がついている。その 玉を」と。 石上の中納言には、安産のお守 りだといわれている「つばめが持 っている子安貝」をと。 「姫。…

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五人の求婚者への難題 2 「それで、結構だ」 五人が、口々にいいました。 おじいさんは、かぐや姫に、男た ちのことばを伝えました。 かぐや姫は、五人に、見せてほし い品をいいました。 石作(いしづくり)の皇子には、 「お釈迦様がつかったという仏の …

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五人の求婚者への難題 1 日が暮れる頃、いつもの五人がや ってきました。 ある者は笛を吹き、ある者は大き な声で歌を歌い、ある者は楽譜の 旋律を口ずさんでいます。 また、ある者は口笛を吹き、ある 者は扇をたたき拍子をとり、外で さわいでいます。 お…

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貴公子たちの求婚 8 「姫は、どんな人と結婚したいと 思っているのかね。あの五人は、 立派な志をもったかただと思うが」 「あの五人は、どれほど深い愛情 を、私に持っているのでしょう。五 人の愛情は、同じ程度だと思います。 このままでは、どの人がい…

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貴公子たちの求婚 7 「じい、なぜ結婚しなくてはなら ないのですか」 「姫は、女だから。じいが生きて いる間は、生活にも困らないから、 一人でいられるだろう。でも、じい が死んでしまったら、生活に困る。 今も、五人が、姫に会いたいとい って毎日きて…

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竹取物語 貴公子たちの求婚 6 すると、姫が。 「じいや。何をいうのですか。じ いのいうことは、何でも聞いてい るではありませんか。私は、じい のことを、ほんとうの親だと思っ ていますよ」 「姫。うれしいことをいってくれ るね。じいは、今年七十にな…

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貴公子たちの求婚 5 月日がどんどんすぎていきます。 五人は、家に帰っても、物思いに ふけり、かぐや姫への思いを絶ち 切ることができません。 五人は、「そうはいっても、最後 にはかぐや姫に会えるだろう」と、 期待していたのです。 そして、かぐや姫に…

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貴公子たちの求婚 4 そこで、五人は、かぐや姫に手紙 を書きました。 でも、返事はきません。 恋する歌を詠み、かぐや姫に届け ましたが、何の返事もありません。 十二月になり雪が降っても、真夏 の暑い日にも、雷が鳴り響く時に も、五人は毎日かぐや姫の…

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貴公子たちの求婚 3 五人の男とは、石作の皇子・くら もちの皇子・右大臣安倍御主人 (あべみぬし)・大納言大伴御幸・ 中納言石上(いそのかみ)磨足で した。 普通の人でも、「あそこの娘は、器 量よしだ」と聞けば、その娘をひと めみたいと思うのは無理…

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貴公子たちの求婚 2 召使いたちに、「せめて伝言を」と お願いするのですが、誰も相手に してくれません。 かぐや姫の家の前から離れようと しない男たちは、昼も夜も一日中、 かぐや姫の家のまわりで過ごしま した。 しばらくすると、多くの男たちは、 用…

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竹取物語 7 貴公子たちの求婚 1 美しいかぐや姫の評判を聞き、朝 廷に仕えている男たちは、身分の 高い人も低い人も、なんとかして、 かぐや姫をひとめみたいものだと 思いました。 みたこともないかぐや姫を恋い慕 い、おおぜいの男たちが心を乱し ていた…

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竹取物語 6 女の子が大きくなったので、御室 戸斎部の秋田を招き、名前をつけ てもらうことにしました。 女の子の名前は、「なよ竹のかぐ や姫」と決まりました。 かぐや姫の命名式を祝って、三日 間、歌を歌ったり、舞を舞ったり、 琴などを演奏しました。…

竹取物語

竹取物語 5 おじいさんとおばあさんは、女の 子のために、髪を結う儀式を手配 し、きれいな着物を着せました。 そして、女の子を部屋から一歩も 出さず、宝物のように大切に育て ました。 女の子は、この世の人とは思えな いほどの美しさでした。 女の子の…

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竹取物語 4 「ばあさん。今度は、竹の中に、 黄金が入っていたよ」 「えっ、竹の中に黄金が? それに しても、ふしぎなことが続くわね」 その後も、おじいさんが竹をとりに 行くと、「ぴかっ、ぴかっ」と光ってい る竹の中に、何枚も黄金が入ってい ました…

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竹取物語 3 「おじいさん。この子を、二人で 育ててあげましょうよ」 「そうだね。そうしょう」 女の子は、おじいさんの家で暮ら すことになりました。 あまりに小さいので、籠の中に入 れて大切に育てました。 一ヶ月後。 おじいさんが竹をとりに行くと、 …

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竹取物語 2 「ばあさん、ばあさん」 「何ですか、おじいさん。大きな 声を出して」 「ばあさん。かわいい女の子をつ れてきたよ」 「えっ、どこに?」 「ここだよ」 おじいさんは、手のひらに、女の 子をのせてみせました。 「小さなかわいい子ね。どこから…

竹取物語

竹取物語 1 昔、むかし、大昔。 ある所に、竹取りのおじいさんが いました。 名は、讃岐の造(さぬきのみやつこ)。 おじいさんは、竹をとり、籠(かご) などを作って暮らしています。 ある日。 おじいさんが竹をとりに行くと、「ぴ かっ」と光っている竹…

福寿草になった少女

童話「福寿草になった少女」を 読んでいただきありがとうござ いました。 福寿草になった少女 1http://d.hatena.ne.jp/youko510/20170113 「次の日」「次の日」と押してい ただければ、最後まで読むことが できます。 「福寿草になった少女」は、みほ よう…

福寿草になった少女

福寿草になった少女 28 それから五百年がすぎました。 守屋山のふもとでは、何万本にもふ えた福寿草が、春の光をあび、美し く咲いています。 その中に一本、福の生まれ変わりの 花が咲いています。 その福寿草は、守屋山にまだ雪が残 っている頃、ふっく…

福寿草になった少女

福寿草になった少女 27 すると・・・。 山の頂からも、おごそかな声が聞 こえてきました。 「わしは守屋山に住んでいる明神 じゃ。二人とも福に会えて、本当 に良かったのぅ。 長者夫婦よ、福を大切に育ててく れて、ありがとう。感謝している ぞー。そこ…

福寿草になった少女

福寿草になった少女 26 「とうちゃん、かあちゃん。今年 も忘れずに私に会いにきてくれた のね。うれしいわ。私ね、明神さ まにお願いして、とうちゃんがみ たいといっていた黄金色の花にし ていただいたの。 きれいな花でしょ。今は一本きり だけれど、何…

福寿草になった少女

福寿草になった少女 25 黄金色の花は、太陽にあたり、き らっきらっと輝いていました。 それはひとえの黄金色の花でした。 「まあ、きれいな花だこと」 二人は、黄金色の花にかけよりま した。 すると・・・。 「リーン・リーン・リーン」 どこからか鈴の…

福寿草になった少女

福寿草になった少女 24 十年が過ぎました。 福の命日に、二人は守屋山に登り ました。 「福が生きていたら、今年は十八 ね。すてきな娘になっただろうに・・・」 二人は福のことを思いだしながら、 守屋山へ登って行きました。 福がたおれていた場所にたど…

福寿草になった少女

福寿草になった少女 23 長者は、明神さまに、心からわび ました。 長者は、たくさんの宝物を、使用 人や村の人々に、おしげもなくわ け与えました。 大切なこどもをなくしてしまった 長者には、宝物などもう何の価値 もなかったのです。 長者は、福がたお…

福寿草になった少女

福寿草になった少女 22 次の朝。 守屋山のふもとの反対側で、雪で 真っ白になった福がみつかりました。 寒さのため、福はこごえ死んでしま ったのです。 「福や、福や。目をさましておくれ」 「福、なぜ守屋山へなど行ったの?」 大切なこどもをなくした夫…

福寿草になった少女

福寿草になった少女 21 村の人々も、手分けしてさがして くれました。 しかし、福はどこにもいません。 「もしかして、守屋山へ行ったの では・・・」 小雪のちらつく中を、大がかりな 山狩りが、一晩中おこなわれました。 でも、福をみつけることはできま…

福寿草になった少女

福寿草になった少女 20 福の体の上に、少しずつ少しずつ 雪が積もっていきました。 「福や、福や。おきるのじゃ。こ んな所でねていると、こごえしん でしまうぞ」 うすれゆく意識の中で、福はその 声を聞きました。 その声は、どこかで聞いたことが ある…