福寿草になった少女


  福寿草になった少女 20


福の体の上に、少しずつ少しずつ
雪が積もっていきました。
「福や、福や。おきるのじゃ。こ
んな所でねていると、こごえしん
でしまうぞ」



うすれゆく意識の中で、福はその
声を聞きました。
その声は、どこかで聞いたことが
あるような、とてもなつかしい声
でした。



一方、用事からもどった夫婦は、
福が家にいないのに気づきました。
「福やー、福やー」
二人は、あちこちさがしまわりま
した。


        つづく