2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎなリュック 10 遠い昔、三浦家に伝わったリュックで、行きたいと 思う所へ、さっと飛んでいけるふしぎなリュックなの です。かなさんが好きな月や星へも行けますよ。な くなったおとうさんたちが住んでいる国へも、飛ん で行けるの…

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[童話]ふしぎな鈴 ふしぎなリュック 9 すると、先生の背中のリュックが、鈴めがけてころ んところがってきました。 そして、灰色のリュックも、ピカッピカッ、キラッキラ キラと、黄金色に輝きだしたのです。 「なんて美しい鈴の音だろう。私はこの桃の鈴を…

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[童話]ふしぎな鈴 ふしぎなリュック 8 うちじにしている人々…血まみれになり、なきさけん でいる人々。 「もしかしたら…私は昔三浦半島の城に住んでいた ことがあったのかもしれない。そして、かなもいっしょ に暮らしていたのかもしれない。でも…かなはま…

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[童話]ふしぎな鈴 ふしぎなリュック 7 「リーン、リーン、コロンころん」 「リーン、リーン、コロンころん」 かなは、むじゃきに何度も鈴をふっています。 すると…。 先生の頭の中に、遠い昔のことが、ぼんやりとうかん できたのです。 どこかの海岸…おや?…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎなリュック 6 その時、かなのポケットの中に入っていた鈴が、「リ ーン・リーン・コロンころん」と鳴り出しました。 ポケットの中で、鈴がうれしそうにおどっているよう な感じでした。 かなはポケットの中から、鈴をとりだしました…

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[童話]ふしぎな鈴 ふしぎなリュック 5 すると、古杉先生がやってきました。 「かな、何をみているの?」 「先生、あの鳥はなんという名前?」 「ギィーギィーって、鳴いていただろ。あれはね、こ げらという鳥だよ。きつつきの仲間だよ」 先生は、こげらの…

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[童話]ふしぎな鈴 ふしぎなリュック 4 丘には大きな桃の木があり、桃の花が何輪か咲き はじめたところでした。 「ギィーギィー」 ボートをこいでいるようなきみょうな音が、どこから か聞こえてきました。 「何の音だろう?」 かなは音のする方をみました。…

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[童話]ふしぎな鈴 ふしぎなリュック 3 先生は、春休みに三浦半島へ旅行に行きました。 油壷を訪れた時、とてもなつかしい気がしました。 「初めてきた場所なのに、なぜなつかしい気がする のだろう」 先生はふしぎに思いました。 「かなはなんて清らかな目…

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[童話]ふしぎな鈴 ふしぎなリュック 2 古杉先生もかなの顔を初めてみた時、いつかどこ かで会ったことがあるような、とてもなつかしい気が しました。 「どこで会ったのだろうか?」 でも、どこであったのか、先生には思い出せません でした。 「前世って、…

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[童話]ふしぎな鈴 ふしぎなリュック 1 かなは四年生になりました。 かなの学校へ、古杉先生が転校してきました。 小柄な色の白い先生でした。 先生はかなのクラスの担任になりました。 先生は、いつも背中に、灰色のリュックをしょってい ます。 そのリュッ…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 お月さまの耳かざり 8 「お月さま、昨日は星の耳かざりをありがとう。耳かざ りのおかげで、かあちゃんは少し元気になりました。 お月さま、本当にありがとうございました」 かなはお月さまに、何度もお礼をいいました。 「かな、おかあさ…

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[童話]ふしぎな鈴 お月さまの耳かざり 7 すると・・・。 おかあさんのほおが、ほんのり赤くなりました。 次の朝、かなが目をさますと、おかあさんは朝ごは んのしたくをしていました。 「かあちゃん、おきてだいじょうぶ?」 「かな、だいじょうぶだよ。か…

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[童話]ふしぎな鈴 お月さまの耳かざり 6 かなは、散歩の途中で、お月さまから星の耳かざり をもらったことを話しました。 おかあさんは乳にがんができて、この間手術をした ばかりです。 おかあさんは乳を切ってしまったので、手が上にあ がりません。 ふっ…

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[童話]ふしぎな鈴 お月さまの耳かざり 5 「あっ!」 かなが大声でさけんだ時、お月さまの耳についてい た星が、するするとおりてきました。 そして、かなの耳に、ぴたっとつきました。 「なんてすてきな耳かざりだろう。うれしいなぁ。 お月さま、どうもあ…

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[童話]ふしぎな鈴 お月さまの耳かざり 4 「わぁー、お月さまの耳かざりみたい。すてきだわ。 私もあんな耳かざりがほしいなぁ」 すると、どこからか声が聞こえてきました。 「かな、この星の耳かざりをあげよう。この耳かざり をつけるとね、どんな願い事で…

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[童話]ふしぎな鈴 お月さまの耳かざり 3 長い坂道をのぼり、平らな道にでた時、空にはもう お月さまがでていました。 今日のお月さまは細い三日月です。 その時、お月さまにむかって、きらっきらっと光りな がら、星が近づいてくるのをみつけました。 その…

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[童話]ふしぎな鈴 お月さまの耳かざり 2 雲ひとつない真っ青な西の空が、だんだんにうす いクリーム色に変わってきました。 かなとりゅうは、たちどまって西の空をじっとみてい ました。 すると、空の色がうすい橙色から、濃い橙色になり ました。 「なんて…

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[童話]ふしぎな鈴 お月さまの耳かざり 1 秋のある日。 かなはりゅうといっしょに、散歩に行きました。 りゅうは散歩が大好き。 かなの顔をみると、「散歩にいこう、散歩にいこう」 と、大声でさいそくします。 かなとりゅうは、いつもの道を走ったり、歩い…

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[童話]ふしぎな鈴 校長先生と桜の鈴 9 校長先生から桜の鈴をもらったかなは、毎日りゅう と散歩しました。 「りゅう。りゅうはどこからきたの?」 「ぼくはね、遠い国からきたんだ。かなさんのおとう さんにたのまれて、この国へきたんだよ。おとうさん は…

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[童話]ふしぎな鈴 校長先生と桜の鈴 8 「わぁ、うれしいなぁ。もしかして…もしかして…そ の鈴は小桜姫さまが大切にしていた鈴ですか?」 「どうして、かなは桜の鈴のことを知っているの?」 「とうちゃんがなくなる時、小桜姫さまは二つの鈴を 大切にしてい…

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[童話]ふしぎな鈴 校長先生と桜の鈴 7 「かな、いいものをあげよう。桜の鈴だよ。 ほら、 いい音がするだろう」 「リーン・リーン・リーン」 校長先生が鈴をふると、鈴虫が鳴いているような 音色が、あたりにひびきわたりました。 「かな、この鈴をふるとね…

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[童話]ふしぎな鈴 校長先生と桜の鈴 6 それだけではありません。 娘とすごした鎌倉の様子が、走馬灯のように頭の中 にうかんできたのです。 「おとうさま、おとうさまー」とよぶ娘の声まで、校長先 生ははっきり思い出しました。 「やはり、かなは私の娘だ…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 校長先生と桜の鈴 5 「リーン・リーン・コロンころん」 「リーン・リーン・コロンころん」 何度も鈴の音を聞いているうちに、校長先生の頭 の中に、遠い昔のある光景が、ぼんやり浮かんで きました。 大きなおやしき…たくさんの木が植えて…

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[童話]ふしぎな鈴 校長先生と桜の鈴 4 かなは、おとうさんから聞いた小桜姫の話を、校 長先生に話しました。 校長先生はその話を知っていましたが、「ほうー」 「それで」「それからどうしたの」といいながら、 かなのたどたどしい話を、最後まで聞いてくれ…

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[童話]ふしぎな鈴 校長先生と桜の鈴 3 すると、目の前の木にうぐいすがとまっています。 「ホーホケキョ、ホーホケキョ」 かなが近づいても、うぐいすはにげません。 うぐいすは、かなを案内するかのように、かなの前 をとんでいきます。 「ふしぎなうぐい…

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[童話]ふしぎな鈴 校長先生と桜の鈴 2 かなは校長先生の「おはよう」という声を聞くと、心 の中がぱっと明るくなるような気がしました。 校長先生は、まわりにいる人々を、元気にしてしま うふしぎな人でした。 五月初めの日曜日。 かなは愛犬の“りゅう”と…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 校長先生と桜の鈴 1 それから何カ月か過ぎました。 かなは一年生になりました。 かなの小学校へ、長いひげの校長先生がふにんし てきました。 小柄な色黒の先生でした。 先生のひとみは温かく、いつもきらきらと輝いていま した。 かなは校…

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[童話]ふしぎな鈴 朝顔のエスカレーター 12 花のまわりを、白や黄や紫のちょうが、ひらひらま っています。 はるかむこうに、小高い丘がみえました。 丘の上で、誰かが手をふっています。 かなは丘にむかって、広い野原をどんどん走りま した。 「おとうさ…

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[童話]ふしぎな鈴 朝顔のエスカレーター 11 かなの家が、かなの住んでいる村が、どんどん小さ くなって、とうとう見えなくなってしまいました。 朝顔のエスカレーターは、途中止まることなく、空に むかってどんどんのぼっていきます。 「かなさん、つきま…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 朝顔のエスカレーター 10 何千何万という花が、色とりどりにぱっと音がして開 いていきます。 色あざやかな竜が、空に向かってかけのぼってい くような、そんな感じでした。 かなはぽかーんとして、朝顔の花を見ていました。 「かなさん…