2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子23 和尚は、あまりの恐ろしさに、そ の場にすわりこんでしまいました。 和尚がはっと我にかえると、雷雨 はやみ、空には太陽がでていました。 「ああ、こわかった。こんなこわ い思いをしたのは、初めてじゃ。 わしは、悪い夢をみていたのだ…

南アルプス

「花のほほえみ」より 南アルプス

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子22 雨も降ってきました。 バケツをひっくりかえしたような、 はげしい雨でした。 「ごろごろっ」 「ごろごろ」 「ぴか、ぴかっ」 すさまじい雷でした。 「ぴしゃっ」 「ぴしゃっ」 雷が、近くに落ちたようです。 「うおーっ、うおー」 はげ…

日の出

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子21 すると、滝つぼの水面に、真っ青 な獅子が浮かびあがってきました。 「うおーっ」 獅子は一声ほえると、きっとした 目で空をにらみました。 突然、あたりが真っ暗になりました。 「ごろごろ」 「ごろごろっ」 雷がなりだしました。 「ぴ…

早朝の南アルプス

「花のほほえみ」より 早朝の南アルプス

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子20 「あっ」 和尚が声をあげた時には、獅子頭 は滝つぼに落ちていました。 「わしには、すばらしい獅子頭に みえたが」 和尚は、小声でそっとつぶやきま した。 男は、悲しそうな顔で、滝つぼを じっとみています。 「わぁーっ」 大きな悲鳴…

冬桜の芽

「花のほほえみ」より 冬桜の芽

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子19 その後、男は獅子頭をもって、滝 の上の方へ登っていきました。 そして、適当な岩をみつけると、 獅子頭を岩の上へおきました。 男は、獅子頭をじっとみています。 どのくらいの時間がすぎたのでしょ うか。 和尚には、長い時間がすぎた…

白い椿

「花のほほえみ」より 白い椿

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子18 長い時間をかけやっと立ちあがっ た男は、よろよろしながら滝へむ かって歩いていきます。 和尚は、男にみつからないように、 そっと後をつけました。 滝へついた男は、不動明王にお参 りしました。 「不動明王さま。やっと獅子頭が でき…

女神さまとの約束

今、五冊目の童話集「竜の姿をみ た少女」を、「鳥影社」で制作中。 12月10日頃、発売される予定。 信州諏訪の「風の神様」から聞い た話。 収録される童話は、「竜の姿をみ た少女」と「女神さまとの約束」。 女神さまとの約束1 http://d.hatena.ne.jp…

栗の葉の黄葉

「花のほほえみ」より 栗の葉の黄葉

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子17 うす暗い小屋の中で、男の目だけ が異様に光っています。 和尚は、男の変わりようにびっく りしました。 声をかけることもできず、和尚は 小屋の外から男の様子をじっとみ ています。 「獅子よ。やっと完成したぞ。 後は、何回かうるしを…

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子16 さわやかな秋になりました。 不動滝のまわりの木々も、赤や黄 色に紅葉しはじめました。 「あの仏師に会ってから、五カ月。 依頼した獅子頭は、どのくらいで きただろうか」 和尚は、不動滝のそばにある仏師 のあばらやを訪ねました。 小…

りゅうの俳句

りゅうの俳句1559 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091013#p3 りゅうの俳句1560 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091014#p4 りゅうの俳句1561 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091015#p4

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子15 後は、耳をほり、角をつけるだけ になりました。 やっと、獅子頭ができました。 「獅子よ。彫りあがったぞ。さあ、 早くでておいで」 男は、大声で獅子をよびました。 そして、彫りあがった獅子頭を、や すりでていねいにみがいていきま…

りゅうの俳句

りゅうの俳句1557 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091011#p4 りゅうの俳句1558 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091012#p2

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子15 「このまあるい大きな鼻。 これがおまえの鼻だよ」 獅子に話しかけながら、細かい部 分をていねいに彫っていきました。 苦労したのは、上顎と下顎の部分。 ひきまわしののこぎりで、上顎と 下顎を切り分け、舌などを彫って いきます。 で…

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子14 のみを研いでいると、ざわざわし ていた心が、すぅーと静かになり ました。 男は、寝る間もおしみ、夢中で獅 子頭を彫りました。 いつ食事をしたのか、いつ寝たの か、すぐには思い出せないほど、獅 子頭を彫ることに熱中していました。 …

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子13 荒彫りを始める前に、男は滝へ行 き、不動明王にお参りしました。 「不動明王さま。これから、獅子 頭の荒彫りを始めます。 木の中から、元気な獅子がとびだ しますように」 そういって、男は一心に祈りました。 身を清めた男は、木の前…

りゅうの俳句

りゅうの俳句1556 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091010#p4

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子12 獅子頭のイメージが頭に浮かぶと、 男は滝へ行き、不動明王にお参り しました。 その後、滝へ行き身を清めました。 男は、獅子頭を彫るために、小屋 にこもりました。 「獅子よ。早く目をさましておくれ。 そして、外へでておいで。待っ…

てまり

母の作品「てまり」

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子11 「大太鼓、小太鼓、笛を吹く人・・・ 十人くらいかのぅ。 そのほかに、獅子頭の舞い手が何 人か入る」 「おおぜいの人が、屋台の中へ入 るのですね」 男は、大がかりな獅子舞にびっく りしました。 「よーし、りっぱな獅子頭をつく るぞ…

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子10 道具の手入れが終わると、寺へ行っ て、祭につかう獅子頭をみせてもら いました。 そして、獅子舞の様子を聞きました。 「たった一本の手綱で、屋台と獅子 をたくみにあやつっているのは、宇 天王なのじゃ」 「屋台といいますと?」 「瑠…

りゅうの俳句

りゅうの俳句1555 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091009#p4

瑠璃寺の青獅子

瑠璃寺の青獅子9 身を清めた男は、数十本ののみを、 一本ずつていねいに研いでいきます。 男は、今までにいくつもの仏像を彫 りました。 でも、祭につかう獅子頭を彫るのは、 初めてでした。 「瑠璃寺は、何百年も続いている由 緒ある寺。 その寺にふさわし…

りゅうの俳句

りゅうの俳句1553 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091007#p3 りゅうの俳句1554 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091008#p4

「竜の姿をみた少女」あとがき

「竜の姿をみた少女」あとがき 「風の神様からのおくりものシリー ズ」も、今回で五冊目になりました。 このシリーズは、信州諏訪の「風の 神様」から聞いた話をまとめたもの。 今日は、信州の二つの湖を訪ねた時 に、「風の神様」から聞いた話を、紹 介した…