2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ふしぎな鈴

プロローグ 2 「かなさん、ありがとう。今年も 忘れずに会いにきてくれたのね。 うれしいわ」 桜の花が、笑顔でかなを迎えま した。 「今年もきれいに咲いたのね」 かなは、そっと花のにおいをかぎ ました。 桜の花の香りが、あたりにぷーん とただよいまし…

ふしぎな鈴

プロローグ 1 小高い丘にのぼると、目の前に南 アルプスの山々が美しくみえます。 山深いこの町にも、ようやくあた たかな春がやってきました。 丘の上の桜が、今年も美しく咲き ました。 かなは丘へ着くと、桜の木の方へ 走って行きました。 そして、ポケ…

しゃが

紫露草

ゆきのした

二人しずか

芍薬

おだまき

白やまぶき

おだまき

さらさどうだん

都わすれ

桜草

女神さまとの約束

女神さまとの約束 60 湖に大きな波がたち、ふくと白駒 は、深い湖の底に沈んでいったの です。 人々は、この湖を「白駒池」とよぶ ようになりました。 秋になると、真っ赤に紅葉したもみ じが、湖に美しくうつっています。 そして、湖の真ん中には、真っ赤…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 59 約束を守るということは、むずか しいことですね。でも、どんなこ とがあっても、約束はちゃんと守 らなくていけません。とくに、神 様との約束は・・・ね。一つでも 赤い木の実を食べたものは、もう 自分の家に帰ることはできないの …

女神さまとの約束

女神さまとの約束 58 その時、どこからか声がきこえて きました。 「ふく。なぜ、私との約束をやぶ ったのですか。私は、あなたが、 最後まで約束を守ってくれると信 じていました。 私のてつだいをしてもらおうと、 あなたを黄金色の花が咲いている 場所…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 57 ふくは、誰かにあやつられるよう に、すぅーと白駒の背に乗せられ ました。 「ひひーん」 白駒は、かなしそうな声でなくと、 すごいいきおいで走りだしました。 野をこえ、山をこえ、里をこえて、 白駒は走っていきます。 そして、山…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 56 「そうか、じゃあ、ゆっくり休ん でいきなさい」 長者は、ふくに会えてうれしそう でした。 何事もなく、二日間がすぎました。 三日目の朝のことです。 「とんとん、とんとん」 戸をたたく音がしました。 でてみると、白駒でした。 白…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 55 「三日くらいだったら、だいじょう ぶだろう」 そう思った白駒は、しぶしぶふくを 家へ送っていきました。 「ふくさん、三日間だけですよ。 三日たったら、迎えにきますからね」 そういって、白駒は帰って行きました。 「とうちゃん、…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 54 「私は、女神さまとの約束を守り、 けわしい岩場に残り、何百人もの 人をすくいました。とうちゃんに 会いたくても、じっとがまんしま した。 ねぇ、白駒。三日くらい家に帰っ てもだいじょうぶでしょ。すぐこ こへもどるから。白駒、…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 53 秋になり、硫黄岳のふもとの木々も、 赤や黄色に紅葉しはじめました。 そんなある日。 「白駒、お願い。私を家へつれてい って」 「ふくさん、女神さまとの約束を忘 れたのですか。約束をやぶると、大 変なことになりますよ」 「大変な…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 52 ふくは、けわしい岩場の生活に、 だんだんあきてきました。 病人をすくうことに、むなしさ を感じるようになっていました。 「女神さまが、自分で病人をす くえばよいのに。なぜ私がすく わなくてはならないの?」 こんな気持になるこ…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 51 それから、十年がすぎました。 硫黄岳の生活は、夏は涼しく快適 でした。 夏の間は、白駒の背に乗って、硫 黄岳を散歩します。 ふくは、コマクサやウルップソウ などの花をみるのを、楽しみにし ていました。 でも、冬は寒さがきびし…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 50 ふくも、病気で苦しんでいる人を たすけることに、いきがいを感じ ています。 病人の食事は、白駒が運んでくれ ます。 症状にあわせ、おかゆなどを届け てくれました。 ふくの食事は、小さな赤い木の実 だけ。 その木の実を、一つ口に…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 49 「では、ここへつれてくる人を、ど うやって選ぶの?」 「女神さまは、神様を信じていて、 心の清い人を選ぶようですよ」 白駒はいいました。 一本きりだった黄金色の花も、今 では十数本にふえました。 「ふくちゃんのおかげで、おら…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 48 ふくは、白駒がつれてきた人の体 を、黄金色の花びらで、やさしく さすってあげます。 すると、今にも死にそうだった人 が、何日かすると元気になりました。 早い人は一週間くらいで、長い人 でも一ヵ月後には、元気になって 家へ帰っ…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 47 おじいさんが家に帰ると、今度は 足の悪いおばあさんがやってきま した。 はうことしかできなかったおばあ さんでしたが、二週間後には杖な しで歩けるようになりました。 「ふくちゃん。ありがとう。歩けるよ うになって、ほんとうに…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 46 「おじいさん。夕焼けにそまった 山は、きれいね」 硫黄岳からみる朝日や夕日は、す てきでした。 二人は、時間のたつのも忘れて、 八ヶ岳連峰の山々をみながら、い ろいろな話をしました。 一ヵ月後。 「ふくちゃん。ありがとう。ふ…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 45 ふくは、おじいさんの体を、黄金 色の花びらで、何度もさすってあ げました。 「一日も早く、おじいさんが元気 になれますように」と、心の中で 祈りながら。 おじいさんは、たてしな山のふも とに住んでいるとか。 畑仕事をしていて…

女神さまとの約束

女神さまとの約束 44 その夜。 ふくは、ねないでおじいさんの看 病をしました。 次の朝。 「あれっ?」 「やっと、気がついたのね。よか った」 ふくは、ほっとしました。 「ここは、どこ?」 目をさましたおじいさんは、ふし ぎそうな顔で聞きました。 「…