2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

古事記神話「古事記物語」

大国主命 国譲り 2 ある日。 天照大御神は、長男の天忍穂耳命 (あめのおしほみみのみこと)を よんでいいました。 「下界の葦原中国は、私の弟や後 を継いだ大国主命が治めている国。 あの国は、あなたが治めるべき国 なのですよ。 すぐに下界へ降り て行…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 国譲り 1 天照大御神(あまてらすおおみか み)は、高天原で乱暴をはたらき、 下界へ追放された弟・須佐之男命 (すさのおのみこと)のことを心 配していました。 須佐之男命が治めていた国をひき 継いだのが、大国主命。 その国は、水穂国(みず…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 やきもちをやく須勢理比売 6 綾織りの帳がひらりとたれている 下で、カラムシの寝具の柔らかな 下で、タクの寝具のざわざわ鳴る 下で、淡雪のような私の白い胸を やさしくだいてください。 そして、私の手を枕にして、ゆっく り足をのばしておやす…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 やきもちをやく須勢理比売 5 すると、須勢理比売が大きな杯を とり、大国主命のそばに寄り、杯 を捧げて歌を詠みました。 八千矛神よ、私の大国主命よ。 あなたは男だから、島の岬、港ご とに妻がいるのでしょうね。 私は女ですから、あなた以外に…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 やきもちをやく須勢理比売 4 愛しい妻よ。 たくさんの鳥が飛び 立つように、わしが大勢のおともの ものに引かれていったならば、あな たは泣くまいと強がっていても、ス スキのようにうなだれて泣くだろう。 あなたの嘆きは、朝の雨が霧となっ て…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 やきもちをやく須勢理比売 3 波が引いていくように、後に衣を 脱ぎ捨て、今度はかわせみの羽 のような青い衣を着てみる。 袖をあげさげしてみるが、この衣 も似合わない。 その衣を脱ぎ捨て、山の畑に蒔い た蓼藍で染めた衣をきて、胸元を みる。 …

古事記神話「古事記物語」

大国主命 やきもちをやく須勢理比売 2 ある日。 須勢理比売のやきもちに手をやい た大国主命は、倭へ行こうと思い ました。 旅の支度をしていると、須勢理比 売がやってきて、「また、どこか へおでかけなの」と嫌味をいいま した。 大国主命は片手を馬の鞍…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 やきもちをやく須勢理比売 1 大国主命の正妻・須勢理比売(す せりひめ)は、大国主命がよその 国へ行くたびに、その国の美しい 女性を妃にすることが許せません でした。 そんなうわさを耳にするたびに、須 勢理比売はやきもちをやきました。 と…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 17 家来たちに追われ、沼に落ちたり、 枯れたあしとともに火で焼かれそ うになったりしました。 それでも、沼河比売は追っ手から 逃げまわり、出雲へ行くことをこ ばみ続けました。 沼河比売は、深い淵でおぼれてな くなったのではない…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 16 一週間後の夜。 沼河比売に仕えていた人たちが、 小さな舟で助けにきました。 沼河比売は、その舟にのり、故 郷の越をめざし逃げました。 「沼河比売を連れもどしてこい」 大国主命は、家来たちに命じま した。 家来たちは、沼河比売…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 15 玉造り集団の責任者だった沼河比 売は、「越の翡翠の権利を守らな くては」という気持が強かったの でしょうか。 大国主命は家来に命じ、沼河比売 が寝ている間に船にのせ、七尾港 へ運ばせました。 翌朝、目をさました沼河比売は驚 …

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 14 ところが、ある日。 出雲から、大国主命の父神がなく なったという知らせが届きました。 大国主命は、越の長たちに、建御 名方神の後見を頼み、出雲へ帰る ことにしました。 「一緒に出雲へいってほしい」と、 沼河比売にお願いしま…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 13 しばらくして、建御名方神(たけ みなかたのかみ)が生まれました。 後に、諏訪の祭神になるかたです。 建御名方神が生まれた時、近くの 山から、たくさんの小鳥・雉・鹿・ 熊などが集まってきて、建御名方 命の誕生を祝いました。 …

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 12 その後。 二人は、しばらく沼河比売が住ん でいる里で暮らしました。 そして、翡翠の加工技術や販売方 法などを指導しました。 仕事が軌道にのると、二人は身能 輪山の宮殿へ移りました。 宮殿のある里では、稲の作りかた や、青苧(…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 11 緑の山に日が沈むと、真っ暗な夜 がやってきます。 夜になったら、朝日のようにやっ てきて、白い腕で私をやさしく抱 いてください。 そして、私の手をしっかりにぎっ てください。 玉のような私の手を枕にして、足 をのばしゆっくり…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 10 あなたからの返事を待っていると、 山ではとらつぐみが鳴き、野では 雉がけたたましく鳴いています。 そして、庭ではにわとりが時をつ げています。 なんといまいましい鳥たちだろう。 どうか鳥たちのうるさい鳴き声を とめておくれ…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 9 私、八千矛神(やちほこのかみ) は、すてきな妻を探して日本中を 歩きましたが、みつけることがで きませんでした。 遠い越の国に、賢くて美しい女性 がいると聞き、求婚するためやっ てきました。 刀の緒もとかず、旅の支度もとか ず…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 8 二回目の勝負が行われました。 根知彦が神馬に乗り、大きなかけ 声とともに飛んだ瞬間、どこから か「おー」という神様の声。 すると、ぴかっと稲光が。 根知彦と馬は、その稲光に当たり、 飛んでいる姿のまま石になって落 ちてしまい…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 7 二人が勝負する場所は、奴奈川の 奥山・駒ケ岳。 最初に、根知彦が飛びました。 根知彦は、青光りする神馬にのり、 「えいっ」と大きな声をあげ飛び ました。 飛びおりた所は、別所。 続いて、牛に乗った大国主命が飛 んだ所は、別所の…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 6 大国主命にとって一番手ごわい相 手は、沼河比売におもいをよせて いる根知の根知彦でした。 根知彦は、大国主命が沼河比売に 求婚するため越の国へやってきた ことを知り、腹をたてています。 ある日。 根知彦は、大国主命が住んでい…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 5 大国主命は、すぐにでも沼河比売 と結婚したいと思いましたが、地 元の豪族や海賊の夜星武などの反 対があり、沼河比売に求婚するこ とさえできませんでした。 困った大国主命は、海賊の夜星武 に、妃の一人をさしだしました。 夜星武…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 4 能登半島の開拓が終わると、大国 主命は舟で越の国へ上陸しました。 越に着いた大国主命は、身能輪山 に宮殿をかまえ、村の人々に農耕 の技術や砂鉄の精錬技術などを伝 えました。 ある日。 大国主命は、沼河比売が住んでい る里をこっ…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 3 能登半島についた大国主命は、まず 邑知(おおち)平野の開拓を始めま した。 その頃の邑知平野は大きな潟で、怪 鳥や大蛇が住み村人たちを困らせて いました。 大国主命は、その怪鳥や大蛇を退治 し、まわりの地をだんだんに開拓し て…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 2 沼河比売は、翡翠からいろいろな 宝石をつくる、玉造り集団の長で もありました。 沼河比売が持っている、カワセミ の羽のような美しい勾玉は、その ころの人々のあこがれの宝石だっ たのです。 その頃。 大国主命は、出雲のまわりの国…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 沼河比売 1 越の国奴奈川に、翡翠色(ひすい いろ)の美しい勾玉を持っている 巫女がいました。 翡翠の女神といわれています。 女神の名は、沼河比売。 日本海に栄えた越王国の海神・神 意支都久辰為命(おきつくしいの みこと)の孫娘でした。 沼…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 少名毘古那(すくなびこな)5 しばらくして、少名毘古那は、常世 の国へ帰っていってしまいました。 大国主命は「これから一人で立派な 国を作っていけるだろうか」と心配 しました。 そんな時。 海を照らして寄ってくる神がいました。 「わしをち…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 少名毘古那(すくなびこな)4 「あの小さな神様は、あなたのこ どもでしょうか」 「そう、わしのこどもじゃ。 あ まりに小さいので、指の間からこ ぼれ落ちてしまったのだ。 少名毘古那と力を合わせ、二人で りっぱな国を作りなさい」 神産巣日神…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 少名毘古那(すくなびこな)3 「小さな神様は、神産巣日神(かむ むすひのかみ)の子で、少名毘古那 ですよ」 かかしが、そう教えてくれました。 神産巣日神なら、大国主命もよく知 っています。 八十神たちにいじめられ、猪に似た 真っ赤に焼けた…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 少名毘古那(すくなびこな)2 「どなたかな」 大国主命が、小さな神様にたずね ました。 でも、何も答えません。 おとものものに聞いても、名前が わかりません。 「あの小さな神様は、誰じゃ」 大国主命は、近くにいたひき蛙に 聞きました。 する…

古事記神話「古事記物語」

大国主命 少名毘古那(すくなびこな)1 ある日。 大国主命が、出雲の御大の岬に立っ ていると、はるかむこうに小さな舟 がみえました。 舟は、どんどんこちらへ近づいてき ます。 舟にのっているのは、小さな神様と おともたち。 ガガイモの細長い実を割っ…