2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

守屋山に黄金色の花が咲いた

守屋山に黄金色の花が咲いた 2 明神さまへ、雨の日も風の日も、一 日も休まずお参りにくる一人の少 女がいました。 少女には心を病んでいる兄がいま した。 「兄ちゃんが一日も早くよくなり ますように。 昔のやさしい兄ち ゃんになれますように…」 少女は…

守屋山に黄金色の花が咲いた

守屋山に黄金色の花が咲いた 1 明神さまが住んでおられる守屋山 には、雪がとけるころ、黄金色の花 が咲くといういいつたえがありました。 黄金色の花をみた人は、一生幸せ に暮らせるそうです。 春になると、おおぜいの人が守屋 山に入り、黄金色の花を探…

雪んこの舞

雪んこの舞 17 「雪んこたちよ、楽しい舞をあり がとう」 人間たちが口々にさけんでいます。 るみは仲良しの友だちとしっかり 手をつなぎ、空の国へむかっての ぼっていきます。 空の国はもうすぐです。 空の国では、おとうさんやおかあ さんたちが、るみ…

雪んこの舞

雪んこの舞 16 どの位の時間がすぎたのでしょうか。 「雪んこたちよ、さあ空の国へ帰る ぞー」 空の神様の声で、雪んこたちは帰り じたくを始めました。 雪もやみました。 澄みきった空には、大きな黄金色の 月が顔をだしました。 星もきらきらとかがやい…

雪んこの舞

雪んこの舞 15 るみの目から、大粒の涙がはらはら とこぼれました。 おかあさんの目からも涙がこぼれて います。 夕方、空の国から応援にかけつけた おおぜいの雪んこで、長野の町は真 っ白になりました。 まわりの山も家も道も真っ白です。 るみたち雪ん…

雪んこの舞

雪んこの舞 14 「雪んこってかわいいね」 「楽しいおどりだね。 私もおど りたいわ」 会場から人間たちの声が聞こえて きました。 大きな拍手の中、雪んこたちはい つまでもいつまでもおどり続けま した。 「るみ、よくがんばったね。 るみ の舞が一番すて…

雪んこの舞

雪んこの舞 14 会場には何万人もの人間たちが集 まっていました。 「次は空の国の雪んこの舞です。 遠い空の国から、おおぜいの雪ん こたちがこの町へきてくださいま した。 みなさま、どうぞゆっくり雪んこ たちの舞をごらんくださいませ」 こんなアナウ…

雪んこの舞

雪んこの舞 13 雪んこたちは何回かのリハーサル で、舞がみちがえるほどうまくな りました。 もうすとーんと落ちてしまう雪ん こは、一人もいません。 るみもひっしでけいこしたので、 なんとか人並みにおどれるように なりました。 るみは仲良しの友達と…

雪んこの舞

雪んこの舞 12 一月にはいると、毎日毎日雪がふ りました。 野も山も雪で真っ白になりました。 一週間でニメートル近い雪がふっ たのです。 電車もバスも車も動きません。 「雪よ、早くやんでくれー」 人間たちは毎日空をみあげ、ためい きをついています…

雪んこの舞

雪んこの舞 11 その様子をみていた空の神様は、 ほとほとこまってしまいました。 早速雨と風をよび、どうしたらい いかと相談しました。 その結果、何度も下界におりる練 習をしなくてはだめだということ になりました。 空の国では十ニ月に二回、一月に …

雪んこの舞

雪んこの舞 10 百五十人の雪んこたちは、いっせ いに空の国を出発しました。 ところがあんなにきびしいけいこを したのに、「すとーん」とまっさかさま に落ちてしまう雪んこばかりでした。 最後までちゃんとまった雪んこは一 人もいません。 るみも最初は…

雪んこの舞

雪んこの舞 9 いやみをいわれても、けなげにがん ばるるみの姿をみて、一人ふたりと るみにやさしいことばをかけてくれ る雪んこがあらわれました。 もうるみはひとりぼっちではありま せん。 十ニ月八日。 代表の雪んこたちが、下界へおりる リハーサルの…

雪んこの舞

雪んこの舞 8 代表に選ばれた雪んこたちも,何 かとあしでまといになるるみに、 ひややかな目をむけています。 るみはひとりぼっちでした。 るみは基本の舞こそできましたが、 開会式で舞うのはむずかしい舞で した。 舞の先生が何度もるみに教えてく れる…

雪んこの舞

雪んこの舞 7 「目のみえないるみちゃんに、む ずかしい雪の舞なんておどれるは ずがないわ」 「なんでるみちゃんが代表になるの。 私のほうがずっと上手なのに…」 代表に選ばれなかった雪んこたちは、 るみにやきもちをやきました。 「るみちゃん、あんな…

雪んこの舞

雪んこの舞 6 空の神さまはさっそく雨や風と相談 して、長野の町へ雪んこをおおぜい つれていくことにしました。 空の国では、各地区から雪の舞をす る百五十人の代表が選ばれました。 代表の雪んこたちは、舞の先生のも とできびしいけいこをすることにな …

雪んこの舞

雪んこの舞 5 がんばりやのるみは、ころんでも ころんでも自分でおきあがり、一 生けんめい舞のけいこをしました。 そしてるみは一ヶ月で基本の舞が できるようになったのです。 秋が終わるころ、空の神さまのも とに、人間の国から手紙がとどき ました。 …

雪んこの舞

雪んこの舞 4 おかあさんにとって、目のみえな いるみに雪の舞を教えることは、 想像していた以上に大変な仕事で した。 でも舞ができないと、るみはこれ から一人で生きていけません。 だからるみもおかあさんもひっし でした。 るみとおかあさんは、一日…

雪んこの舞

雪んこの舞 3 おかあさんはるみの前で、何度も 何度もおどってみせました。 しかし目のみえないるみには、ど うやっておどったらいいのか見当 もつきません。 「るみ、右の手を高くあげ、それ から左の足をあげるのよ」 おかあさんはるみの手をとって、何 …

雪んこの舞

雪んこの舞 2 その中に、目がみえない雪んこが ひとりいました。 名前はるみ。 るみは目がみえないけれど、とて も明るいこどもです。 おとうさんとおかあさんと三人で 暮らしています。 るみたち雪んこが、最初におぼえ なくてはならないこと、それは雪 の…

雪んこの舞

雪んこの舞 1 暑い夏が終わり、さわやかな秋が やってきました。 遠い空の国では、たくさんの雪の こども・雪んこが生まれました。 例年の十倍も多い雪んこです。 生まれたばかりの雪んこは、まん まるで透明です。 大きくなるにつれ、雪んこは白く なりま…

明神さまの姿をみた少女

「みほようこの日記」で連載して いた「明神さまの姿をみた少女」が 終了しました。 読んでいただきありがとうござい ました。 小学校高学年のみなさんにも、読 んでいただきたいと思います。 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20160124#p1 「次の日」「次の…

明神さまの姿をみた少女

明神さまの姿をみた少女 15 少女は何本かの松虫草の花をたおると、 足早に急な坂道をくだって家にいそぎ ました。 明神さまが住んでおられる社が、遠く の方にみえてきました。 明神さまは少女とわかれた後、風にな って諏訪湖のまわりの村をみまわりし て…

明神さまの姿をみた少女

明神さまの姿をみた少女 14 「ぴゅー」というここちよい風で、 少女ははっとわれにかえりました。 松虫草の花が風でかすかにゆれて います。 何千匹といた赤いくじゃくちょうは、 どこへいってしまったのでしょうか。 あちこちさがしましたが、一匹もい ま…

明神さまの姿をみた少女

明神さまの姿をみた少女 14 「おまえの兄を思う気持は、よく わかった。 何年か後には、おま えの兄はきっとよくなるだろう。 いつまでも優しい心を忘れずに生 きていくのじゃよ。 今日ここでわしに会ったことは、 決してだれにもいうではないぞ。 くじゃ…

明神さまの姿をみた少女

明神さまの姿をみた少女 13 今までくじゃくちょうの舞をみた ものは一人もいないぞ。 おまえ だけじゃ。 わしもあそこでみて いたが、うっとりするような、美 しい舞じゃったのー」 その声は少年の声ではなく、いつ か聞いたことのある明神さまの声 でした…

明神さまの姿をみた少女

明神さまの姿をみた少女 12 少年は黒い冠をかぶり、真っ白い 着物の上にこい緑色の上着をきて いました。 「少女よ、よくきたのー。 わしは おまえに会える日をずーと待ってい たぞ。 わしは諏訪の神・明神じゃよ。 さっき松虫草のまわりをまってい た赤い…

明神さまの姿をみた少女

明神さまの姿をみた少女 11 どの位歩いたのでしょうか。 少女には長い時間歩いたような気が しました。 少女は小鹿に案内されて、丘の上に ある小さなほら穴の中へ入って行き ました。 穴の中に入ってみると、中には広い 部屋がありました。 大きなニ本の…

明神さまの姿をみた少女

明神さまの姿をみた少女 10 「この小鹿は、明神さまのおつか いをしている小鹿ではないかしら」 少女はなぜかそう思いました。 小鹿は「こっちへおいで。 こっち ですよ」というように、つぶらなひ とみで少女をみつめ、どこかへさそ っているようなしぐさ…

明神さまの姿をみた少女

明神さまの姿をみた少女 9 「あの山のむこうにはなー、広い 高原があるのだよ。 そしてその 高原には、昔から大勢の女神さま たちが住んでおられるそうだよ。 秋になるとな、女神さまたちが赤い きれいなちょうになって、広い高原 を楽しそうにまうそうだよ…