明神さまの姿をみた少女


 明神さまの姿をみた少女 15


少女は何本かの松虫草の花をたおると、
足早に急な坂道をくだって家にいそぎ
ました。
明神さまが住んでおられる社が、遠く
の方にみえてきました。



明神さまは少女とわかれた後、風にな
って諏訪湖のまわりの村をみまわりし
ていることでしょう。



今までに「ぴゅー」というさわやかな
風の音をきいた人はおおぜいいますが、
明神さまの化身であるりりしい少年の
姿をみたのは、あとにもさきにもこの
心の優しい少女ひとりだけだったそう
です。


          おわり




「明神さまの姿をみた少女」は、
諏訪の童話集「風の神様からの
おくりもの」に収録されています。






「風の神様からのおくりもの」は、
みほようこの初めての童話集。


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu1.html


2001年8月 鳥影社より発行。