2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

古代出雲の王 大国主命

国譲り 20 後に、建御名方神は、諏訪大社の 祭神になりました。 狩猟の神・農耕の神・風の神など として、今も諏訪の人々に慕われ ています。 国譲りの条件として、多芸志の小 浜に建てられた巨大な出雲大社。 その社にまつられている大国主命 は、今どん…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 19 国譲りの後、大国主命がどうなった のか、誰も知りません。 国譲りの直後、潔く黄泉の国へ行っ たのではないか・・・といわれてい ます。 柴垣の中へ隠れ、二度と姿をみせな い事代主神がどうなったのか、それ もわかりません。 諏訪へ逃げた建…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 18 そうすれば、わしは出雲のはての 地に隠れている。 この国のおお ぜいの神たちは、事代主神が先頭 にたって仕えれば、だれも背くも のはいないだろう」 建御雷神たちは高天原へもどり、天 照大御神に報告しました。 「やっと大国主命を説得する…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 17 「おまえの二人のこどもは、天照 大御神の仰せに従い背くことはあ りませんといっている。 おまえ はどうする」と聞きました。 「二人のこどもがいうように、わし も背きません。 この国を、天照大 御神の御子に譲りましょう。 一つだけ条件があ…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 16 建御名方神を殺そうとした時、 「どうか殺さないでください。 わしは、諏訪以外、どこへも行き ません。 父上にも、事代主神にも背きませ ん。 葦原中国は、天照大御神の 御子に譲ります」といいました。 建御雷神は、再び大国主命の所へ もどり…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 15 建御雷神(たけみかずちのかみ)の 手をとると、建御雷神は手を氷柱に かえ、その後鋭い剣の刃にかえました。 建御名方神は驚き、後へひきさがり ました。 建御雷神は、建御名方神の手をとる と、葦の若葉をつまむようににぎり つぶし、ぽーんと…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 14 「もう一人、建御名方神(たけみな かたのかみ)がいる。 こどもはお おぜいるが、他には逆らう者はおり ません」 そこへやってきたのが、建御名方神。 千引きの岩を軽々と持ちあげながら 「だれだ。 この国へやってきて、 文句をいっているやつ…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 13 すると、その船は青々した柴垣に なりました。 言代主神は、大国主命にむかって 頭をさげると、柴垣の中へかくれ てしまいました。 「今、おまえの子・事代主神は、こ の国を天照大御神の御子に譲った らどうでしょうかといった。 他に、 反対す…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 12 言代主神は、小声で大国主命に いいました。 「私は反対です。 でも、父上が この国を譲りたいと思うならば、 私は何もいいません。父上にお 任せします」 そして、大きな声で返事をしました。 「父上。 この国を、天照大御神の 御子に譲ったら…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 11 天鳥舟神は御大の岬へ行き、言代 主神をつれてきました。 そして、「天照大御神の御子に、 この国を譲ることをどう思うか」と 聞きました。 偉大な霊能力を持っている言代主 神は、高天原から何人もの使者が やってきて、「葦原中国を譲れ」 と…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 10 「わしらは、天照大御神のおつかい でここへやってきた。 そちが治めている葦原中国は、天照 大御神の御子が治めるべき国である。 この国を御子に譲ってほしい」 「わしからは返事ができない。 わが子の言代主神(ことしろぬしの かみ)が返事を…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 9 最後に下界へ降りていったのが、 建御雷神(たけみかずちのかみ) と天鳥舟神(あめのとりふねのかみ)。 二柱の神は、出雲のいざさの浜に おりました。 二神はとつかの剣(つるぎ)を抜 くと、波頭に剣をさかさまにつき たて、剣の先にあぐらをか…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 8 「天若日子は、八年たってももど ってこない。 なぜもどってこな いのか」 その理由を聞くためにおくられた のが、雉。 名は鳴女(なきめ)。 鳴女は桂の木にとまり、天照大御 神のことばを伝えました。 しかし、その鳴女も、天若日子も、 天照大…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 7 次につかわされたのは、天若日子 (あめわかひこ)。 天照大御神は、立派な弓と矢を持 たせ下界へ送りました。 ところが・・・。 天若日子は、大国主命の娘・下照 比売と結婚してしまったのです。 そして、葦原中国を自分のものに しようとたくら…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 6 その国を、なぜ天照大御神の御子 に譲らなくてはならないのだ。 誰が何といおうと、この国は譲れ ない」 大国主命は、きっぱりいいました。 何度話し合いをしても、大国主命 の気持はかわりません。 三年たっても、天菩比神は高天原 へもどること…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 5 「そちが治めている葦原中国は、 天照大御神の御子が治めるべき 国である。 この国を御子に譲っ ていただきたい」 「わしは、義父の須佐之男命が 治めていた国を引き継ぎ、何十 年もの長い年月をかけて、人々 とともに豊かな暮らしやすい国 をつく…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 4 困った天照大御神は、おおぜいの 神たちを河原に集め、相談しました。 「下界の荒ぶる神たちを制圧し、葦 原中国はわれら高天原のものである と、説得しなくてはなりません。 適任の神は、誰か」と。 相談の結果、つかわされたのが、天 菩比神(あ…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 3 天忍穂耳命は、天照大御神の命を 受け、下界へ降りていきました。 天の浮橋の上から下界をみると、力 の強い神たちがあばれまわり、大騒 ぎをしています。 その様子をみた天忍穂耳命は、高天 原へもどり天照大御神に報告しました。 「葦原中国は、…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 2 天照大御神は、葦原中国が、年々 豊かな暮らしやすい国になってい くのを、複雑な気持でみていました。 ある日。 天照大御神は、長男の天忍穂耳命 (あめのおしほみみのみこと)を よんでいいました。 「下界の葦原中国は、私の弟や後 を継いだ大…

古代出雲の王 大国主命

国譲り 1 天照大御神(あまてらすおおみかみ) は、高天原で乱暴をはたらき、下界 へ追放された弟・須佐之男命(すさ のおのみこと)のことを心配してい ました。 須佐之男命が治めていた国をひき継 いだのが、大国主命。 その国は、水穂国(みずほのくに)…

古代出雲の王 大国主命

やきもちをやく須勢理比売 7 こんな意味の歌を詠むと、二人は 杯をかわし、夫婦のちぎりをかた めました。 その後。 大国主命と須勢理比売は、今も出 雲の国で仲良く暮らしています。 つづく

古代出雲の王 大国主命

やきもちをやく須勢理比売 6 綾織りの帳がひらりとたれている 下で、カラムシの寝具の柔らかな 下で、タクの寝具のざわざわ鳴る 下で、淡雪のような私の白い胸を やさしくだいてください。 そして、私の手を枕にして、ゆっく り足をのばしておやすみくださ…

古代出雲の王 大国主命

やきもちをやく須勢理比売 5 すると、須勢理比売が大きな杯を とり、大国主命のそばに寄り、杯 を捧げて歌を詠みました。 八千矛神よ、私の大国主命よ。 あなたは男だから、島の岬、港ご とに妻がいるのでしょうね。 私は女ですから、あなた以外に男 はいま…

古代出雲の王 大国主命

やきもちをやく須勢理比売 4 愛しい妻よ。 たくさんの鳥が飛び立つように、 私が大勢のおとものものに引かれ ていったならば、あなたは泣くま いと強がっていても、ススキのよ うにうなだれて泣くだろう。 あなたの嘆きは、朝の雨が霧となっ てたちこめるよ…

古代出雲の王 大国主命

やきもちをやく須勢理比売 3 波が引いていくように、後に衣を 脱ぎ捨て、今度はかわせみの羽の ような青い衣を着てみる。 袖をあげさげしてみるが、この衣 も似合わない。 その衣を脱ぎ捨て、山の畑に蒔いた 蓼藍で染めた衣をきて、胸元をみる。 そして、袖…

古代出雲の王 大国主命

やきもちをやく須勢理比売 2 旅の支度をしていると、須勢理 比売がやってきて、「また、ど こかへおでかけなの」と嫌味を いいました。 大国主命は片手を馬の鞍(くら) にかけ、片足を鐙(あぶみ)に 入れて、こんな歌を詠みました。 黒い衣を着て、水鳥の…

古代出雲の王 大国主命

やきもちをやく須勢理比売 1 大国主命の正妻・須勢理比売(すせ りひめ)は、大国主命がよその国へ 行くたびに、その国の美しい女性を 妃にすることが許せませんでした。 そんなうわさを耳にするたびに、須 勢理比売はやきもちをやきました。 とくに、越の…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 19 沼河比売は、深い淵でおぼれて なくなったのではないか。 いや、息子の建御名方神と一緒 に、諏訪へ行ったのではないか・・・ などといわれています。 沼河比売は、どんな最後を迎えた のでしょうか。 沼河比売の最後を知る人は誰もい ません…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 18 家来たちは、沼河比売たちの後を 追ってきます。 沼河比売たちは、福来口・根知谷・ 平牛・・・と、越の国内をあちこち 逃げまわりました。 家来たちに追われ、沼に落ちたり、 枯れたあしとともに火で焼かれそう になったりしました。 それで…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 17 翌朝、目をさました沼河比売は驚 きました。 「なぜ船の上にいるのだろう」と。 沼河比売は、船から脱出する機会 をじっと待ちました。 一週間後の夜。 沼河比売に仕えていた人たちが、 小さな船で助けにきました。 沼河比売は、その船にのり…