2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

竹取物語

[童話]竹取物語 竹取物語 61 第五章 阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 10 おじいさんは、安倍を座敷の中へ 招きいれ、お茶をすすめました。 「今度こそ、姫はこのかたと結婚 することになるだろう」 おじいさんとおばあさんは、そう 思いました。 二人は、かぐ…

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[童話]竹取物語 竹取物語 60 第五章 阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 9 すると、かぐや姫が。 「立派な皮ですね。でも、これ が本物の火鼠の皮衣だという証 拠は、何もありません」 「姫。ともかく、あのかたを、 家の中へ入れてあげましょう。 この世では見る…

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[童話]竹取物語 竹取物語 59 第五章 阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 8 安倍は、化粧を丁寧にして、出 かける支度をしました。 かぐや姫の婿として、屋敷に泊 まることになるだろうと思い、 木の枝に歌をつけて持って行き ました。 かぎりなき思ひに焼けぬ皮衣 …

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[童話]竹取物語 竹取物語 58 第五章 阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 7 皮衣が入っている箱を見ると、いろ いろの瑠璃をとりまぜ、彩色して作 ってありました。 皮衣は、紺青色でした。 毛の端は、ぴかぴか光っています。 比べる物がないほどの美しさでした。 …

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[童話]竹取物語 竹取物語 57 第五章 阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 6 でも、安倍さまから預かったお金 では足りず、私が五十両払いまし た。だから、五十両いただきたい と思います。船が帰る時、そのお 金を託してください。 お金を払っていただけない場合は…

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[童話]竹取物語 竹取物語 56 第五章 阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 5 今も昔も、火鼠の皮衣は、容易 に手にいれることができない貴 重な物です。あきらめていたら、 天竺の聖者が、この国へ持って きたという皮衣が、西の山寺に あるという噂を聞きました。 …

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[童話]竹取物語 竹取物語 55 第五章 阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 4 小野は、安倍がさしむけた足の 速い馬に乗って、筑紫から七日 で都へ帰ってきました。 小野が持ってきた王けいの手紙 には、こんなことが書いてあり ました。 「依頼された火鼠の皮衣を、…

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[童話]竹取物語 竹取物語 54 第五章 阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 3 しかし、火鼠の皮衣を探すこと は難しいことです。裕福な長者 の家や大きな寺などを訪ね、火 鼠の皮衣があるかどうか、聞い てみましょう。探しても皮衣が みつからなかったならば、いた …

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[童話]竹取物語 竹取物語 53 第五章 阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 2 小野は、安倍の手紙を、唐船の 王けいに渡しました。 王けいは、手紙の返事を書きま した。 「火鼠の皮衣は、唐にはありま せん。噂には聞いたことがあり ますが、見たことはありません。 …

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[童話]竹取物語 竹取物語 52 第五章 安倍の右大臣と火鼠の皮衣 1 右大臣の安倍御主人(あべみう し)の家は、裕福な家でした。 一族も栄えています。 安倍は、「火鼠の皮衣」を手に 入れるため、日本にやってきた 唐船の王けいに、手紙を書きま した。 「…

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[童話]竹取物語 竹取物語 51 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 26 皇子は、自分がしたことが恥ず かしくて、みずから姿を隠した のでしょうか。 その後、何年かたってから、ひ ょつこり帰ってきたのでしょうか。 この玉の枝事件をきっかけに、 「た…

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[童話]竹取物語 竹取物語 50 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 25 その後。 くらもちの皇子は、これ以上の 恥はない。かぐや姫と結婚できな かったばかりか、世間の人がどう 思うだろうかと考えると、はずか しく思い、深い山の中へ入ってし まいま…

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[童話]竹取物語 竹取物語 49 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 24 ところが・・・。 その帰り道、皇子は、金工たちを 血が流れるまでたたいたのです。 そして、金工たちがかぐや姫から もらった褒美を全部とりあげ、自 分の物にしてしまいました。 …

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[童話]竹取物語 竹取物語 48 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 23 皇子は、立ったり座ったりして 落ち着きません。 日が暮れてから、皇子はこっそ り家へ帰っていきました。 かぐや姫は、訴えた金工たちを よんで、たくさんの褒美を与え ました。 金…

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[童話]竹取物語 竹取物語 47 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 22 かぐや姫の心はすっかり晴れて、 くらもちの皇子に返歌をしました。 まことかと聞きて見つれば言の葉を かざれる玉の枝にぞありける かぐや姫は、歌とともに、玉の枝 も返しました。…

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[童話]竹取物語 竹取物語 46 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 21 金工たちは、「当然いただくべ きお金です」と、口々にいいま した。 かぐや姫は、「くらもちの皇子 と、結婚しなくてはならないの か」と悩んでいた心がすっきり し、晴れ晴れした…

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[童話]竹取物語 竹取物語 45 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 20 「くらもちの皇子は、千日の間、 身分の低い金工たちと同じ家に 隠れ住み、立派な玉の枝を作ら せました。そして、玉の枝が完 成したら、官職をくれるといい ました。 いろいろ考え…

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[童話]竹取物語 竹取物語 44 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 19 おじいさんは、この金工たちは、 何をいっているのだろうと思い ました。 くらもちの皇子は、まさか金工 たちがかぐや姫の家にまで押し かけてくると思っていなかった ので、びっく…

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[童話]竹取物語 竹取物語 43 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 18 「内匠寮(たくみづかさ)の金 工、綾部の内麻呂が申し上げます。 玉の木の枝を作るために、五穀 を断ち、毎日神仏に祈りながら、 千日あまり玉の枝の制作をしま した。 でも、くら…

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[童話]竹取物語 竹取物語 42 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 17 皇子は、おじいさんの歌を聞き、 歌を返しました。 我が袂今日かわければわびしさの 千種の数もわすられぬべし 二人が話をしていると、金工が 六人、庭へやってきました。 そして、…

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[童話]竹取物語 竹取物語 41 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 16 昨日、難波から都へ帰りました。 海の水でぬれた衣を着替えもし ないで、こちらに直接きたのです。 おじいさんは、皇子の話を聞き、 大変な思いをして、玉の枝をと ってきたのだなと…

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[童話]竹取物語 竹取物語 40 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の 15 ここへ持ってきた木の枝は、その 中ではあまり美しいと思えないも のでしたが、かぐや姫が希望した 通りの物でないとだめだと思い、 この木の枝を折ってきました。 少しでも早く帰って…

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[童話]竹取物語 竹取物語 39 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 14 山をみると、登る手段がないほど けわしい山でした。 山の側面を登っていくと、この世 の物とは思えないほど美しい花の 木が、何本も立っていました。 そして、山からは、金・銀・る…

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[童話]竹取物語 竹取物語 38 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 13 すると・・・。 美しい天女がでてきて、銀の椀 で水をくんでいました。 あわてて船からおりて、「この山 の名前は」と聞くと、「蓬莱山で す」といいました。 これを聞いた時のうれ…

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[童話]竹取物語 竹取物語 37 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 12 道中、何度か病気になりました。 出航してから五百日目の朝八時頃。 海のむこうに、かすかに山が見え ました。 船を島に近づけ、山をみました。 その山は、非常に高く美しい山で し…

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[童話]竹取物語 竹取物語 36 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 11 波の荒い日が続き、船が沈みそうに なったり、知らぬ国に吹き寄せられ、 鬼のような怪物に殺されそうになっ たり。 ある時には、方向がわからなくなり、 遭難しそうになったことも。…

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[童話]竹取物語 竹取物語 35 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 10 おじいさんが、皇子に聞きました。 「この木は、どんな所にはえてい たのかね」と。 すると、皇子が話を始めました。 二年前の二月十日。 難波から船に乗り出発しました。 蓬莱山の…

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[童話]竹取物語 竹取物語 34 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 9 蓬莱の玉の枝など、たやすく持っ てくることはできないだろうと思 ったのに、簡単に玉の枝を持って きました。ほんとうにくやしい」と。 おじいさんは、すっかりその気に なり、姫の寝…

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[童話]竹取物語 竹取物語 33 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 8 姫は、おじいさんの話も聞かず、 頬杖をついて物思いにふけって います。 「姫。これは、日本では見ること ができない貴重な玉の枝だ。皇 子の申し出をことわる理由は、何 もない。皇…

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[童話]竹取物語 竹取物語 32 第四章 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 7 「本物かしら」 姫は、何度も玉の枝をみました。 皇子の歌も、なぜか心にひびき ません。 「くらもちの皇子は、姫が希望し た蓬莱の玉の枝を持ってきたので すよ。姫、もう皇子の申し…