2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 16 出雲には、須勢理比売(すせり ひめ)やイナダヒメなど、おお ぜいの妃がいます。 中でも、本妻の須勢理比売のや きもちは有名でした。 玉造り集団の責任者だった沼河 比売は、「越の翡翠の権利を守 らなくては」という気持が強かった のでし…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 15 大国主命は、身能輪山の宮殿で、 沼河比売と建御名方神と三人で、 幸せに暮らしました。 ところが、ある日。 出雲から、大国主命の父神がなく なったという知らせが届きました。 大国主命は、越の長たちに、建御 名方神の後見を頼み、出雲へ帰…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 14 しばらくして、建御名方神(たけ みなかたのかみ)が生まれました。 後に、諏訪の祭神になるかたです。 建御名方神が生まれた時、近くの 山から、たくさんの小鳥・雉・鹿・ 熊などが集まってきて、建御名方 命の誕生を祝いました。 日本海から…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 13 そして、翡翠の加工技術や販売方法 などを指導しました。 仕事が軌道にのると、二人は身能輪 山の宮殿へ移りました。 宮殿のある里では、稲の作りかたや、 青苧(あおそ)から糸をつくり、布 を織る技術を人々に教えました。 青苧とは、多年草…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 12 そして、私の手をしっかりにぎって ください。 玉のような私の手を枕にして、足を のばしゆっくり休んでいただきまし ょう。 だから、むやみにこいこがれますな。 八千矛神へ。 二人は、その夜は会いませんでした。 次の日の夜。 二人は会い、…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 11 八千矛神さま。私は、しおれた草 のような女です。 私の心は、ふらふら飛ぶ水鳥のよ うです。 今は、自分のことしか考えていな い鳥ですが、いずれはあなたの鳥 になりましょう。 だから、鳥を殺さないでください。 緑の山に日が沈むと、真っ…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 10 あなたからの返事を待っていると、 山ではとらつぐみが鳴き、野では 雉がけたたましく鳴いています。 そして、庭ではにわとりが時をつ げています。 なんといまいましい鳥たちだろう。 どうか鳥たちのうるさい鳴き声を とめておくれ。 こんな…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 9 私、八千矛神(やちほこのかみ)は、 すてきな妻を探して日本中を歩きま したが、みつけることができません でした。 遠い越の国に、賢くて美しい女性が いると聞き、求婚するためやってき ました。 刀の緒もとかず、旅の支度もとかず に、こう…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 8 二回目の勝負が行われました。 根知彦が神馬に乗り、大きなかけ 声とともに飛んだ瞬間、どこから か「おー」という神様の声。 すると、ぴかっと稲光が。 根知彦と馬は、その稲光に当たり、 飛んでいる姿のまま石になって落 ちてしまいました。 …

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 7 二人が勝負する場所は、奴奈川の 奥山・駒ケ岳。 最初に、根知彦が飛びました。 根知彦は、青光りする神馬にのり、 「えいっ」と大きな声をあげ飛び ました。 飛びおりた所は、別所。 続いて、牛に乗った大国主命が飛 んだ所は、別所の少し先。 …

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 6 根知彦は、大国主命が沼河比売に 求婚するため越の国へやってきた ことを知り、腹をたてています。 ある日。 根知彦は、大国主命が住んでいる 身能輪山の宮殿へ乱入しました。 二人の仲裁をしたのは、村の長。 高い山の上から、どちらが遠くま …

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 5 大国主命は、すぐにでも沼河比売 と結婚したいと思いました。 しかし、地元の豪族や海賊の夜星 武などの反対があり、沼河比売に 求婚することさえできません。 困った大国主命は、海賊の夜星武 に、妃の一人をさしだしました。 夜星武は、その妃…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 4 越に着いた大国主命は、身能輪山 に宮殿をかまえ、村の人々に農耕 の技術や砂鉄の精錬技術などを伝 えました。 ある日。 大国主命は、沼河比売が住んでい る里をこっそりみにいきました。 そして、「沼河比売、沼河比売―」 と、大声でさけんでし…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 3 能登半島についた大国主命は、 まず邑知(おおち)平野の開拓 を始めました。 その頃の邑知平野は大きな潟で、 怪鳥や大蛇が住み村人たちを困 らせていました。 大国主命は、その怪鳥や大蛇を 退治し、まわりの地をだんだん に開拓していきまし…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 2 沼河比売は、翡翠からいろいろな 宝石をつくる、玉造り集団の長で もありました。 沼河比売が持っている、カワセミ の羽のような美しい勾玉は、その ころの人々のあこがれの宝石だっ たのです。 その頃。 大国主命は、出雲のまわりの国を 平定し…

古代出雲の王 大国主命

沼河比売 1 越の国奴奈川に、翡翠色(ひすい いろ)の美しい勾玉を持っている 巫女がいました。 翡翠の女神といわれています。 女神の名は、沼河比売。 日本海に栄えた越王国の海神・神 意支都久辰為命(おきつくしいの みこと)の孫娘でした。 沼河比売は…

古代出雲の王 大国主命

少名毘古那 4 しばらくして、少名毘古那は、 常世の国へ帰っていってしま いました。 大国主命は「これから一人で 立派な国を作っていけるだろ うか」と心配しました。 そんな時。 海を照らして寄ってくる神が いました。 「わしをちゃんとまつってく れた…

古代出雲の王 大国主命

少名毘古那 3 神産巣日神なら、大国主命もよく 知っています。 八十神たちにいじめられ、猪に似 た真っ赤に焼けた石を抱いて大や けどをした時、大国主命を助けて くれた恩人でした。 「あの小さな神様は、あなたのこ どもでしょうか」 「そう、わしのこど…

古代出雲の王 大国主命

少名毘古那 2 でも、何も答えません。 おとものものに聞いても、名前 がわかりません。 「あの小さな神様は、誰じゃ」 大国主命は、近くにいたひき蛙 に聞きました。 すると、「クエビコが知っている でしょう」と。 クエビコとは、たんぼの中に立っ ている…

古代出雲の王 大国主命

少名毘古那 1 ある日。 大国主命が、出雲の御大の岬に立 っていると、はるかむこうに小さ な舟がみえました。 舟は、どんどんこちらへ近づいて きます。 舟にのっているのは、小さな神様 とおともたち。 ガガイモの細長い実を割って作っ た、小さな舟でした…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 18 そんなある日。 稲羽(いなば)の八上比売が、大国 主命をしたって、はるばる訪ねてき ました。 八上比売は、何か月かして、大国主 命のこどもを生みました。 しかし、すでに須勢理比売という正 妻がいたので、八上比売はそのこど もを…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 17 その後。 大国主命は、いただいた太刀と弓 矢を持って、八十神たちをうちに いきました。 八十神たちが逃げ回るのを追っか け、すべての兄弟を滅ぼしました。 大国主命は、国の神の頭になり、 宇迦山に立派な宮殿を建て、須勢 理比売と…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 16 この坂は、黄泉の国と地上との境 にある坂。 昔、イザナギノミコトが黄泉の国 から逃げだし、イザナミノミコト とののしりあった坂でした。 命は、その坂の上から、大国主命に むかって大声でさけびました。 「おーい、小僧っ。 わしの…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 15 命は、その音で目をさましました。 髪の毛がたる木にしばりつけてあ ったので、大力の命が立ちあがると、 その部屋は「めりめりっ」と大き な音をたてつぶれてしまいました。 「おのれ、小僧めっ」 命はひどく怒り、髪の毛を一束ずつ と…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 14 大国主命は、命が大切にしている 太刀と弓矢・玉のついた天の詔琴 (のりこと)をかかえ、須勢理比売 を背負って、やしきを逃げだしま した。 太刀と弓矢は、蘇生の特殊能力を もっている神の武具。 天の詔琴は、権威ある命令を出す 時…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 13 それをみた命は、 「ほほう、むかでを一匹ずつかみ つぶしているのだな。 かわいい やつじゃ」と思いました。 命はすっかり安心して、大きない びきをかき寝てしまいました。 大国主命は、ぐずぐずしていると、 この先どんなひどいめに…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 12 困ったなと思っていると、須勢理 比売がそばへ来て、椋の実と赤土 をわたしてくれました。 「これでどうするの」 大国主命は、須勢理比売に目でた ずねました。 すると、須勢理比売は、身ぶり手 ぶりで「こうするのよ」と、教え てくれ…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 11 すると。 大国主命が、元気な姿で、焼けあ との中から出てきました。 そして、矢を渡しました。 命は、大国主命が無事だったこと を知り驚きました。 命は、大国主命と一緒に、やしき へ帰りました。 そして、大きな広間につれていき ま…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 10 大国主命がほっとしていると、さ っきのねずみが、口に矢をくわえ 持ってきました。 羽の部分は、子ねずみたちがかじっ てなくなっていましたが、本体だ けは無傷でした。 須勢理比売は、大国主命が焼け死 んでしまったと思い、嘆き悲し…

古代出雲の王 大国主命

大国主命の試練 9 大国主命がとほうにくれていると、 ねずみが一匹とびだしてきました。 「うちはほらほら、外はすぶすぶ」 ねずみはそういいました。 「中はがらんどうで、外はすぼまっ ていますよ」と、伝えたかったので しょうか。 大国主命が、足元をど…