2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

福寿草

「花のほほえみ」より 福寿草

火とぼし山

火とぼし山23 「ここへくる途中、湖の氷の上で、 娘に会ってのぅ」 「氷の上で、娘さんに?」 「湖の氷は、まだ薄い。 娘が湖に落ちたら大変だと思って、 そっと後をつけたのじゃ。 娘は、青年に会うために、山の中 へ入っていった。 うらやましいくらい仲…

ラッパ水仙

「花のほほえみ」より ラッパ水仙

火とぼし山

火とぼし山22 「次郎さんのことを思いながら、 歩いてきたの。それだけよ」 きよちゃんは、おらのことをこん なにも思っていてくれる。 次郎は、幸せでした。 「ほんとに仲のいいカップルじゃ のぅ。みていても、うらやましい くらいじゃ。 娘の名前は、き…

乙女椿

「花のほほえみ」より 乙女椿

火とぼし山

火とぼし山21 「きよちゃん。湖の氷は、まだ薄い。 氷が割れたら、どうするの。 こんな寒い夜、湖に落ちたら死ん でしまうよ。 たのむから、危険なことはしない でね」 次郎は、きよのことが心配でした。 「次郎さん。はい、お酒」 「お酒?」 「寒いから…

火とぼし山

火とぼし山20 無事に湖をわたりおえた娘は、山 に向かって歩き始めました。 娘は、急な道をどんどん歩いてい きます。 「なんて足の早い娘だろう」 明神さまは、小声でつぶやきました。 「次郎さん、こんばんは」 「きよちゃん。今夜は、ずいぶん 早かった…

木の芽

「花のほほえみ」より 木の芽

火とぼし山

火とぼし山19 「みしっ」 「ばりっ」 娘が歩くたびに、氷の割れる音が します。 「あぶない」 「そっちへ行ってはだめ」 明神さまは、はらはらしながら、 娘の後をついていきました。 「娘よ。なぜ湖の氷の上を歩くの じゃ。湖の氷は、まだ薄い。 湖に落ち…

りゅうの俳句

りゅうの俳句1583 http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091106#p2

ばいも

「花のほほえみ」より ばいも

火とぼし山

火とぼし山18 こんな寒い日に、湖に落ちれば死 んでしまいます。 きよは、氷の厚そうな所をみつけ、 そろそろと歩いていきました。 「おや? 氷の上を、誰か歩いて くる。誰だろう」 明神さまは、あわてて岸にあがり ました。 明神さまは、諏訪地方を守っ…

雪割草

「花のほほえみ」より 雪割草

火とぼし山

火とぼし山17 その後。 二人は、月に何度か会いました。 霧ケ峰高原へ花をみに行った時のこ とや、幼い日の思い出を、一晩中語 りあかしました。 楽しいひとときでした。 第三章 湖の氷の上を歩く娘 北風が吹く寒い季節になりました。 諏訪湖には、氷がはっ…

ラッパ水仙

「花のほほえみ」より ラッパ水仙

火とぼし山

火とぼし山16 東の空が、だんだんに明るくなっ てきました。 「きよちゃん。ぼつぼつ帰らない と、仕事に間に合わないよ。 一睡もしていないけれど、だいじ ょうぶ」 「若いから、平気よ。 じゃあ、帰るわ。次郎さん、今度 はいつ会えるの」 「十日後、会…

花のほほえみ

「はてなフォトライフ」の、 「花のほほえみ」を更新しました。 花のほほえみ1 http://f.hatena.ne.jp/youko510/ 花のほほえみ2 http://f.hatena.ne.jp/dowakan/ 「花のほほえみ」より ラッパ水仙

木の芽

「花のほほえみ」より 木の芽

火とぼし山

火とぼし山15 「ばあちゃんから聞いたの。 ばあちゃんの家でも、蚕を飼って いるから」 「そうか」 「次郎さん。野良の仕事は、疲れ るでしょ」 「なれない仕事だから疲れる。 夜になると、体中が痛い」 次郎が、腰をさすりながらいいま した。 「次郎さん…

木の芽

「花のほほえみ」より 木の芽

火とぼし山

火とぼし山14 「私、手で温めながら、歩いてき たの」 二人は、ならんでむすびを食べま した。 「次郎さん。今、どんな仕事をし ているの」 「田んぼの草取りや、野菜の収穫 をしている。蚕も飼っているよ」 「蚕を?」 「おらが働いている家では、蚕を た…

福寿草

「花のほほえみ」より 福寿草

火とぼし山

火とぼし山13 二人は、再会できたことを、心か ら喜びました。 「はい、次郎さん。むすびよ」 「むすび?」 「次郎さんに食べてもらおうと思 って、持ってきたの。さあ、食べて」 きよは、むすびをわたしました。 「うまいっ」 「おいしいでしょ。次郎さん…

だんこうばい

「花のほほえみ」より だんこうばい

火とぼし山

火とぼし山12 小さな火をみてから、一時間後。 やっと、次郎の所へたどりつきま した。 家を出てから、どのくらいの時間 がたっているのでしょうか。 「次郎さん。会いたかったわ」 きよは、次郎にかけよりました。 「きよちゃん。ほんとにきてくれ たのだ…

クロッカスつぼみ

「花のほほえみ」より クロッカス

火とぼし山

火とぼし山11 しばらく行くと、あたりが真っ暗 になりました。 きよはあかりに火をともし、諏訪 湖のまわりを足早に歩いて行きま した。 「次郎さん。早く火をたいてね」 きよは、心の中で祈りました。 西山に、ぽっと小さな火がともり ました。 次郎と約…

ふきのとう

「花のほほえみ」より ふきのとう

火とぼし山

火とぼし山10 第二章 再会 七日がすぎました。 今日は、次郎と会う日。 早めに仕事を終えたきよは、西山 に太陽が沈む頃、次郎が住む村に 向かって出発しました。 「とうちゃん、かあちゃん。 行ってきます」 「きよ、気をつけて行くのだよ。 次郎君によろ…

「花のほほえみ」より 梅