火とぼし山


    火とぼし山20


無事に湖をわたりおえた娘は、山
に向かって歩き始めました。
娘は、急な道をどんどん歩いてい
きます。
「なんて足の早い娘だろう」
明神さまは、小声でつぶやきました。



「次郎さん、こんばんは」
「きよちゃん。今夜は、ずいぶん
早かったね」



「湖の氷の上を歩いてきたの」
「えっ、氷の上を?」
次郎が驚いて聞きました。
「私、一分でも早く、次郎さんに
会いたかったから」


          つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100327#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。