火とぼし山31
「なんか、はずかしくて。
そんなにしょっちゅう家に帰るのは
おかしいと、主人にといつめられた。
だから、きよちゃんのことを話した
んだ」
「そうしたら、なんていったの」
「きよちゃんとは、月に一度、会っ
たらどうかといわれた。
野良の仕事が忙しいから、そういっ
たのだろうけれど」
「一カ月も、次郎さんに会えないな
んて、私さみしい」
そういって、きよは家に帰っていき
ました。
「おや? 向こうから歩いてくるの
は、あの娘だ。
名前は、なんていったかのぅ。そう
そう、きよとかいっとったな。
湖の氷の上で会ってから、ずいぶん
たつのぅ。何日ぶりじゃろ。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100409#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。