童話

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 4 十数年が過ぎました。 大人になった兄たちは、それぞれに妻をめとり、平 凡に暮らしています。 三郎も、ニ十四才になりました。 りりしい青年になった三郎は、村の娘たちから「三 郎さ、三郎さ」と、したわれて…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 3 秋になると、三人は、山へ栗やきのこなどをとりに 行きます。 「でけえ栗が落ちているぞー。三郎、こっちへきて 拾えや」 次郎が、大声で三郎をよんでいます。 「おっ、あけびだ。じゅくしていてうめえぞ」 太郎…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 2 兄たちは「三郎や、三郎や」といって、三郎をかわ いがってくれます。 三郎も、兄たちが大好きでした。 「あそこの兄弟は、ほんとに仲がいいのぅ」 「おらのとこは、朝からけんかばっかり。どうして仲 良くでき…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 1 たてしな山のふもとに、小さな村がありました。 あっちをむいても、こっちをむいても、山・やま・山。 さるやりす、かもしかや熊も住んでいる、山深い村 でした。 その村に、太郎・次郎・三郎という、三人の男の…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 12 どの位の時間がすぎたのでしょうか。 「雪んこたちよ、さあ空の国へ帰るぞー」 空の神様の声で、雪んこたちは帰りじたくを始め ました。 雪もやみました。 澄みきった空には、大きな黄金色の月が顔をだし ました。 星もき…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 11 「るみ、よくがんばったね。るみの舞が一番すてき だよ」 いつきたのでしょうか。 おかあさんのやさしい声が聞こえました。 るみの目から、大粒の涙がはらはらとこぼれました。 おかあさんの目からも涙がこぼれています。 …

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 10 やっと長野につきました。 会場には何万人もの人間たちが集まっていました。 「次は空の国の雪んこの舞です。遠い空の国から、 おおぜいの雪んこたちがこの町へきてくださいま した。みなさま、どうぞゆっくり雪んこたちの…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 9 二月七日。 今日は人間たちに雪の舞をみてもらう日です。 百五十人の雪んこたちは、空の神様とともに、 朝早く空の国を出発しました。 雪んこたちは何回かのリハーサルで、舞がみ ちがえるほどうまくなりました。 もうすとー…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 9 その結果、何度も下界におりる練習をしなくては だめだということになりました。 空の国では十ニ月に二回、一月に入ると一週間 も続けて、舞のリハーサルがおこなわれました。 さあ、おどろいたのは下界に住んでいる人間たち…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 8 百五十人の雪んこたちは、いっせいに空の国を 出発しました。 ところがあんなにきびしいけいこをしたのに、「す とーん」とまっさかさまに落ちてしまう雪んこばか りでした。 最後までちゃんとまった雪んこは一人もいません…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 7 るみは、何度も何度も舞の先生におしえてもらい、 一生けんめいけいこをしました。 ほかの雪んこたちの何百倍もけいこをしたのです。 いやみをいわれても、けなげにがんばるるみの姿 をみて、一人ふたりとるみにやさしいこと…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 6 代表に選ばれなかった雪んこたちは、るみにやき もちをやきました。 「るみちゃん、あんなおどりかたではだめよ。もっと 手や足を高くあげなくては」 「なぜるみちやんは、みんなにあわせることができ ないの」 代表に選ばれ…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 5 空の神さまはさっそく雨や風と相談して、長野の町 へ雪んこをおおぜいつれていくことにしました。 空の国では、各地区から雪の舞をする百五十人の 代表が選ばれました。 代表の雪んこたちは、舞の先生のもとできびしいけ い…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 4 しかしるみは目がみえないので、何千回もけいこし なくてなりません。 がんばりやのるみは、ころんでもころんでも自分で おきあがり、一生けんめい舞のけいこをしました。 そしてるみは一ヶ月で基本の舞ができるようになっ …

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 3 「るみ、もっと左足を高くあげて」 おかあさんの声で左足をあげると、るみはバラン スをくずし、すってんころりんところんでしまいます。 おかあさんにとって、目のみえないるみに雪の舞 を教えることは、想像していた以上に…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 2 るみたち雪んこが、最初におぼえなくてはなら ないこと、それは雪の舞でした。 るみも生まれてすぐ、おかあさんから雪の舞の 手ほどきを受けました。 「ちら、ちら、ちら」 「ちーら、ちーら、ちーら」 これが雪の舞の基本で…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 1 暑い夏が終わり、さわやかな秋がやってきました。 遠い空の国では、たくさんの雪のこども・雪んこが 生まれました。 例年の十倍も多い雪んこです。 生まれたばかりの雪んこは、まんまるで透明です。 大きくなるにつれ、雪ん…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 13 少女は何本かの松虫草の花をたおると、足早 に急な坂道をくだって家にいそぎました。 明神さまが住んでおられる社が、遠くの方にみ えてきました。 明神さまは少女とわかれた後、風になって諏訪 …

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 12 こういうと、明神さまは「ぴゅー」と風になって、い つも住んでおられる社の方にむかってとんでい きました。 「ぴゅー」というここちよい風で、少女ははっとわ れにかえりました。 松虫草の花が…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 11 その声は少年の声ではなく、いつか聞いたことの ある明神さまの声でした。 少女は明神さまに病気の兄のことを、何度も何度 もお願いしました。 「おまえの兄を思う気持は、よくわかった。何年か …

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 10 「少女よ、よくきたのー。わしはおまえに会える日 をずーと待っていたぞ。わしは諏訪の神・明神じ ゃよ。さっき松虫草のまわりをまっていた赤いちょ うは、くじゃくちょうというのじゃ。 この高原…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 9 小鹿は時々たちどまり、後をふりかえっています。 どこまでも続くすすきの原を、少女は小鹿の後を ついて足早に歩きました。 どの位歩いたのでしょうか。 少女には長い時間歩いたような気がしました…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 8 少女が後をふりむくと、いつきたのでしょうか。 かわいい小鹿が少女の後にちょこんと立っていま した。 小鹿の耳はたてにふたつにわれていました。 「この小鹿は明神さまのおつかいをしている小鹿 …

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 7 「この赤いちょうは、高原に住んでいるというくじ ゃくちょうではないだろうか」 少女は赤いちょうの舞をみているうちに、幼い時 おじいさんから聞いた不思議な話を思い出しま した。 「あの山のむ…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 6 少女が赤いちょうにみとれていると、あっちの 方から一匹、こっちの方から一匹と、沢山のち ょうが、松虫草の花のまわりに集まってきました。 そして沢山のちょうは大きなまーるい円をえが きながら…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 5 松虫草の花は秋の日をあび、きらきらとかがや いています。 「なんてきれいな花だろう。兄ちゃんは松虫草 の花をみて、どんな顔をするだろうか」 少女は松虫草の花をじっとみていました。 すると、…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 4 少女はなんとかして、兄のよろこぶ顔がみたかっ たのです。 少女は細い急な道を、高原めざして登っていきま した。 まわりの山々は、赤や黄色に紅葉しはじめていま した。 三時間位歩いたでしょうか…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 3 少女は少年の姿になっているという明神さまに直 接あい、病気の兄のことをお願いしたいと思いま した。 その後、少女はいろいろな所で、おおぜいの少年 に出会いました。 しかし少女は神様の化身の…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 2 少女が明神さまへ千回目のお参りにいった日。 ひとっこ一人いない静かな境内を、ぴゅーと心 地よい風が通りすぎていきました。 「なんて気持のよい風だこと」 少女がそうつぶやいた時、社の方からお…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 1 明神さまは狩猟の神さま・農耕の神さま・風の 神さまともいわれ、大昔からずっと諏訪の地を おさめてこられた、偉大な神様でございます。 その明神さまへ、雨の日も風の日も雪の日も、 一日も休まず…