じいじとせみ

[童話]じいじとせみ


じいじとせみ 6


「ぼうやにこの蝉をわたしておくれ」
じいじは、紙袋に入った蝉をわたしました。
こんな体になっても、まだぼうやと約束したことを守ろ
うとしているじいじ。
そんなじいじをいじらしく思いました。


「はい、はい。この蝉をぼうやにわたしますよ。これは
じいじがとってくれた蝉ですよって」
じいじは静かに目をとじました。
ばあばがきてくれて、ほっと安心したのでしょうか。


          つづく