じいじとせみ


   じいじとせみ4


ばあばは「元気な男の子が生まれ
てよかったね」といいました。
じいじはあきもせず、ぼうやの顔
をじっとみています。



ぼうやのもみじのような小さな手
に、自分の指をからませ、ぼうや
にいろいろ話しかけました。
ぼうやはじいじの顔を見て、にっ
こり笑いました。
あどけないほほえみでした。



「ぼうやにせみをとってあげなく
ては…」
じいじは、思いついたように、急
に立ちあがりました。



「もう少し休んでいけば良いのに」
ばあばはとめましたが、じいじは急
いで家に帰って行きました。
しかし、それがじいじの元気な最後
の姿だったのです。


            つづく



     昨日の分はこちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090723#p1



  初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090721#p1