2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

小さな音楽会

[童話]小さな音楽会 小さな音楽会 8 すずめたちがあまりにも楽しそうにさえずっているの で、しじゅうからも負けてはいられないと、おおぜい の仲間を呼んできました。 「ツピーツピーツピー」 しじゅうからはピアノにあわせ、歌い始めました。 上空では「…

小さな音楽会

[童話]小さな音楽会 小さな音楽会 7 五月十日。 今日は、ひろの六才の誕生日。 ひろは小鳥たちに、今までおぼえた曲を、聞かせて あげようと思いました。 ひろは小鳥たちのために、小さな音楽会を開こうと 思ったのです。 ひろはいつものように、静かにピア…

小さな音楽会

[童話]小さな音楽会 小さな音楽会 6 ひろはおもちゃのピアノをいじることはあっても、ドと か、ラとか、でたらめにキィーをおすだけでした。 その日から、ひろはおもちゃのピアノで、きいた曲を ひけるようになったのです。 神様はみえない目のかわりに、ひ…

小さな音楽会

[童話]小さな音楽会 小さな音楽会 5 ひろは小鳥のなきまねも上手でした。 ひろが小鳥のまねをすると、「仲間がいるのかな」と、 首をかしげています。 ひろは、音にたいして、敏感でした。 ひろが二才の頃。 クリスマスイブの日でした。 テレビからは「ジン…

小さな音楽会

[童話]小さな音楽会 小さな音楽会 4 おながやむくどりも、時々やってきます。 「かっこう、かっこう」 五月末になると、かっこうもやってきます。 そして、一日中元気に鳴いています。 「ぼっぽー、ぼっぽー」 山ばとも鳴いています。 ひろが一番待っている…

小さな音楽会

[童話]小さな音楽会 小さな音楽会 3 神様は目のかわりに、ひろに素晴らしい鼻をプレゼ ントしてくれたのかもしれません。 庭の花へ、もんしろちょう・しじみちょう・きあげは・か らすあげはなどがやってきます。 庭にちょうがくると、おかあさんは「ひろ、…

小さな音楽会

[童話]小さな音楽会 小さな音楽会 2 ひろは、はいはいも、つかまりだちも、ほかのこどもよ り早くできました。 一才の誕生日には、ひろはくつをはいて、外を歩い ていたのです。 庭には、おかあさんが育てたいろいろの花が、きれい に咲いています。 花が咲…

小さな音楽会

[童話]小さな音楽会 小さな音楽会 1 「かっこう、かっこう」 裏の林から、かっこうの声が聞こえてきました。 ひろは、かっこうの声で、目がさめました。 窓をあけると、さわやかな風がふいていました。 ひろは、元気な男の子。 あと二日で、六才になります…

牛に乗ったお玉さま

[童話]牛に乗ったお玉さま 牛に乗ったお玉さま 7 そのため、長者はお玉がかわいがっていた黒を、や むなく首を切り殺してしまいました。 両親は黒を供養するために、小さな祠をつくりました。 池のほとりに立っていると、お玉をしたってなく黒の 声が聞こえ…

牛に乗ったお玉さま

[童話]牛に乗ったお玉さま 牛に乗ったお玉さま 6 「死ななくてもよかったのに。なぜ死んでしまったの」 「坊さんが好きだといってくれればよかったのに」 一人娘をなくした長者夫婦は、なげき悲しみました。 黒もお玉を慕って、「もぉー、もぉー」となき続…

牛に乗ったお玉さま

[童話]牛に乗ったお玉さま 牛に乗ったお玉さま 5 長者の家は、大さわぎになりました。 みんなで手わけをして探したけれど、お玉はどこにも いません。 村人の話では、黒い牛が底なし池のほとりで、「もぉー もぉー」と悲しそうにないていたとのこと。 翌朝…

牛に乗ったお玉さま

[童話]牛に乗ったお玉さま 牛に乗ったお玉さま 4 しかし、お玉は、両親のすすめる縁談をすべてことわ っていました。 「こんないい話はないのに。お玉、見合いだけでもし ておくれ」 両親は、ある若者との見合いの日を、強引に決めて しまいました。 見合い…

牛に乗ったお玉さま

[童話]牛に乗ったお玉さま 牛に乗ったお玉さま 3 坊さんは、かわいい娘が黒牛にのりお参りにやって くるのを、いつしか心待ちするようになりました。 「なんてかわいい、清らかな娘だろう。どこの娘かな」 坊さんは、お参りにきた人に聞いてみました。 する…

牛に乗ったお玉さま

[童話]牛に乗ったお玉さま 牛に乗ったお玉さま 2 お堂には、説話の上手な若い坊さんが住んでいま した。 そのお堂の近くには、「仏沢の底なし池」とよばれる 深い池があります。 「金龍院の観音様は、願いごとをよくきいてくださる そうだ」 そんなうわさを…

牛に乗ったお玉さま

[童話]牛に乗ったお玉さま 牛に乗ったお玉さま 1 昔、むかし。 小野から木曽へ通じる牛首峠のふもとに、「山口の 長者」とよばれる大きな屋敷がありました。 長者には、お玉という一人娘がいます。 谷間に咲いている白百合のような、清らかな可憐な 娘でし…

げら、桜の花が咲いたよ

[童話]げら、桜の花が咲いたよ げら、桜の花が咲いたよ 9 「そうね、みんなよろこぶわ」おじいさんには、げらたちの鳴き声が、こんなふうに 聞こえました。 雪はまだ降り続いています。おじいさんの家が、庭が、雪で真っ白になりました。 桜の木も、花も真…

げら、桜の花が咲いたよ

[童話]げら、桜の花が咲いたよ げら、桜の花が咲いたよ 8 初雪でした。 雪はなかなかやみません。 桜の枝にも、花にも、雪が少しずつつもっていきます。 すると・・・。庭から、げらたちの声が聞こえてきました。げらとげらのガールフレンドが、こうごに鳴…

げら、桜の花が咲いたよ

[童話]げら、桜の花が咲いたよ げら、桜の花が咲いたよ 7 ようやく桜の花が満開になりました。「寒い時に咲く桜も、また良いものだな」おじいさんは、桜の花を満足気に見あげました。 桜の花が咲くのを待っていた村の人々も、桜の花を 見にきました。「げら…

げら、桜の花が咲いたよ

[童話]げら、桜の花が咲いたよ げら、桜の花が咲いたよ 6 十一月の半ば、あたたかな日が続きました。桜の花が、たった一輪だけ咲きました。「ギーィギィーギーィ」庭で、げらの声がします。 おじいさんはいそいで外に出てみました。 げらのほかに、もう一羽…

げら、桜の花が咲いたよ

[童話]げら、桜の花が咲いたよ げら、桜の花が咲いたよ 5 二週間後。 なぜかげらは姿を見せなくなりました。 他の小鳥たちは、毎日きているのに、げらだけはき ません。「げらはどうしたのだろう?」おじいさんは、げらのことが心配でたまりません。 北風が…

げら、桜の花が咲いたよ

[童話]げら、桜の花が咲いたよ げら、桜の花が咲いたよ 4 「この森にも、こげらがいたのか」こげらは、おじいさんが小鳥好きの人間だとわかる のか、近づいてもにげもせず、木の皮を一心につ ついています。おじいさんは、そのこげらに「げら」と名前をつけ…

げら、桜の花が咲いたよ

[童話]げら、桜の花が咲いたよ げら、桜の花が咲いたよ 3 まゆみの実が桃色になりました。 「ギーイギィーギーイ」 ボートをこいでいるような、きみょうな音が聞こえて きました。 「何の音だろう」 音は桜の木のほうから聞こえてきます。 見ると、桜の木に…

げら、桜の花が咲いたよ

[童話]げら、桜の花が咲いたよ げら、桜の花が咲いたよ 2 「今日はどんな小鳥がやってくるかな」 おじいさんは小鳥がやってくるのを、楽しみにして 待っています。 庭へやってくる小鳥たちは、おじいさんの大切な友 達でした。 おじいさんの庭には、小鳥た…

げら、桜の花が咲いたよ

[童話]げら、桜の花が咲いたよ げら、桜の花が咲いたよ 1 「ピーヒョロロ、ピーヒョロロ」 大空を、とびがゆっくりとんでいます。 ここは、南アルプスの山々が目の前にみえる山深 い村。 村のはずれに、小鳥の好きなおじいさんが、一人 でくらしていました…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 8 すると・・・。また、大空に星の文字が並びました。「わー、すごい!! 星の点字みたい」少女は、寒さもわすれて、少年と心の中で話をしま した。 「ほら、みてごらん。流れ星だよ」おとうさんの声がしました。流れ星は、少…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 7 星がきらっきらっと光る所を読んでいくと、 「こ・ん・ば・ん・は。ぼく・生まれて・はじめて・星を・ みました。星って・本当に・きれいですね。なんで・目のみえない・ぼくに・星が・みえるのか・ わからないけれど・ぼく…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 6 少女は、あたりをみまわしました。しかし、誰もいません。少女は、もう一度空をみあげました。 そういえば、今夜のオリオン座は、なんとなく変で した。いつもと形がちがっています。よくみると、オリオン座だけではなく、す…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 5 少女は外へでて、空をみました。雪で清められた空は、海のように真っ青。そして、空には宝石のような星が、きらっきらっと輝 いていました。「わー、なんて美しい星だろう!!こんな美しい星 は、みたことがない」少女は、宝…