ふしぎな鈴


   ふしぎな鈴24


かなは、丘の上にたっているお
じいさんの家が大好きでした。
おじいさんの家では、蚕をたく
さんかっています。



蚕室(まゆをとるために蚕を飼
う部屋)へいくと、蚕のにおい
がぷーんとします。
かなは、蚕が桑の葉を食べる音
を聞いて育ちました。



夏のある朝。
かなとおじいさんは、暗いうち
におきて、うらのりんご畑へ、せ
みの羽化をみに行きました。
りんごの木には、土の中からはい
だしたばかりのせみの幼虫が、た
くさんとまっています。



「わぁー。たくさんいる。
じいちゃん、これがせみの幼虫な
の?」
「そうだよ。よくみていてごらん。
もうすぐせみが生まれるから」



「じいちゃん、このせみなんていう
の?」
「あぶらぜみだよ」
おじいさんは、あぶらぜみのことを
いろいろ教えてくれました。


            つづく



    前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100706#p2



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1



「ふしぎな鈴」は、みほようこ
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。









リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。