じいじとせみ

[童話]じいじとせみ


    じいじとせみ 2


「一雨ほしいなぁ」
木や花に水をかけながら、じいじはつぶやきました。
長い間雨が降らないので、木も花もぐったり。
元気がいいのは、せみだけ。
「六年も土の中にいたのだもの、せみだって元気に
鳴きたいだろう。そうだ、まごが生まれたら、蝉の声
を聞かせてあげよう」
じいじは、もうすぐ生まれるまごを、毎日楽しみにし
て待っています。


二日後。
恵みの雨が降りました。
バケツの水をひっくりかえしたような、強い雨でした。
五十日分の雨が、一度に降ったのでしょうか。


          つづく