じいじとせみ


   じいじとせみ1


暑い夏の昼さがり。
「ぱさっ」
庭の松の木に、何かとまりました。
「みーん、ミーン、ミーン」
とつぜん、せみが鳴き始めました。



「せみか…」
じいじは庭におりて、松の木をみあ
げました。
小さなせみが、体中で鳴いています。



今年は梅雨があけてから、いってき
も雨が降りません。
朝から太陽がてりつけ、からからで
りの日が、もう五十日も続いていま
した。



「一雨ほしいなぁ」
木や花に水をかけながら、じいじは
つぶやきました。


            つづく