明神さまの姿をみた少女 10
「この小鹿は、明神さまのおつか
いをしている小鹿ではないかしら」
少女はなぜかそう思いました。
小鹿は「こっちへおいで。 こっち
ですよ」というように、つぶらなひ
とみで少女をみつめ、どこかへさそ
っているようなしぐさをしました。
少女は何かにさそわれるように、小
鹿の後をついていきました。
小鹿は時々たちどまり、後をふりか
えっています。
どこまでも続くすすきの原を、少女
は小鹿の後をついて足早に歩きま
した。
つづく
「明神さまの姿をみた少女」は、
諏訪の童話集「風の神様からの
おくりもの」に収録されています。
「風の神様からのおくりもの」は、
みほようこの初めての童話集。
http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu1.html
2001年8月 鳥影社より発行。