古事記神話「古事記物語」


    大国主命


    沼河比売 10


あなたからの返事を待っていると、
山ではとらつぐみが鳴き、野では
雉がけたたましく鳴いています。
そして、庭ではにわとりが時をつ
げています。



なんといまいましい鳥たちだろう。
どうか鳥たちのうるさい鳴き声を
とめておくれ。
こんな意味の歌でした。



すると、沼河比売が、家の中から
こんな歌を返しました。



八千矛神さま。
私は、しおれた草のような女です。
私の心は、ふらふら飛ぶ水鳥のよ
うです。
今は、自分のことしか考えていな
い鳥ですが、いずれはあなたの鳥
になりましょう。
だから、鳥を殺さないでください。


       つづく