福寿草になった少女


   福寿草になった少女 24


十年が過ぎました。
福の命日に、二人は守屋山に登り
ました。
「福が生きていたら、今年は十八
ね。すてきな娘になっただろうに・・・」
二人は福のことを思いだしながら、
守屋山へ登って行きました。



福がたおれていた場所にたどりつ
いた時、二人は「あっ」と大声を
あげました。
わずかに残った雪の中に、長者が・
福が・村の人々が、あんなにみた
いと思った黄金色の花が、一本咲
いていたのです。


        つづく