古事記神話「古事記物語」


   海彦山彦 8


「兄さんは、なぜ大事な剣で作っ
たつり針を、受け取ってくれない
のだろう。 つり針をなくしたこ
とは悪いけれど、かわりのつり針
を受け取ってくれてもいいじゃな
いか。 兄さんのいじわる」
山彦は、海に向かってつぶやきま
した。



そこへ、塩椎神(しおつちのかみ)
が通りかかりました。
「山彦よ、何を嘆いているのじゃ」
「私は、魚を釣ってみたいと思い、
兄と道具の取り換えをしました。
そして、兄が大切にしているつり針
をなくしてしまったのです。


      つづく