竹取物語


帝のお召しに応じないかぐや姫 17


「姫。月をみて、物思いにふけっ
ているようだが、何か悩み事があ
るのかね」
おじいさんが、聞きました。
「月をみると、心細くしみじみした
気持になりますが、何も悩み事は
ありません」と。



しばらくして、またおじいさんが
姫の様子を見に行くと、まだ物思
いにふけっているようでした。
「大切な姫よ、何を思い悩んでい
るのかね。悩み事は何かな」
「悩み事は、何もありません。た
だ、月を見ると、何となく心細くな
るだけです」


          つづく