竜神になった三郎


   竜神になった三郎17


三郎の頭の中には、兄たちとの楽
しかった思い出が、次々と浮かび
ました。
山でわらびやたらの芽、あけびや
栗を取ったことが、昨日のことの
ようになつかしく思い出されました。



「おっかあ、助けてくれー。
おっかあ、おれはまだ死にたくな
ーい」
「お願いだー。誰か助けてくれー」
三郎はひっしでさけびました。
しかし、広い湖には誰もいません。



泳ぎのうまい三郎でしたが、落ち
た所が強くうずをまいている所だ
ったのでたまりません。
もがけばもがくほど、三郎の体は、
ずるずるーと、うずの中にすいこ
まれてしまうのです。



ひっしにもがいていた三郎も、い
つしか力つき、深い湖の底へ沈ん
でしまいました。


           つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091222#p1



    初めて読んでくださったかたへ


    竜神になった三郎1


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091207#p1



童話「竜神になった三郎」は、
みほようこの二冊目の童話集「竜神
になった三郎」に収録されています。






2004年4月、信州の諏訪大社
御柱祭」にあわせ、「鳥影社」か
ら発行されました。
信州諏訪の「風の神様」から聞いた話。



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)




今回、「竜神になった三郎」の続編
として、みほようこの五冊目の童話
集「竜の姿をみた少女」が、鳥影社」
から発行されました。



竜の姿をみた少女 (風の神様からのおくりもの)

竜の姿をみた少女 (風の神様からのおくりもの)



http://www.bk1.jp/product/03220629



小学生のみなさんに、ぜひ読んでい
ただきたいと思います。