瑠璃寺の青獅子

[童話]瑠璃寺の青獅子


瑠璃寺の青獅子 8


男は、獅子頭を彫るために、不動滝のそば
に小さな小屋を建てました。
雨と風がふせげるだけのあばらやでした。


不動滝は、瑠璃寺から一里ほどはなれた山
の中にあります。
滝のそばには、岩に刻まれた不動明王の座
像がありました。
滝の高さは、三十メートル。
滝の幅は、約十メートル。
滝の上部には、千畳敷とよばれる花崗岩
巨大な一枚岩がありました。


         つづく

瑠璃寺の青獅子

[童話]瑠璃寺の青獅子


瑠璃寺の青獅子 7


「そう、生きているようにみえる獅子の頭。
獅子頭をみたこどもが、驚いてわぁーと泣き
だすような、そんな獅子の頭を作ってほしい」
「生きているようにみえる獅子の頭ですか。
和尚さま、難しい注文ですな」


「無理かのぅ」
「そんな獅子頭が、彫れるかどうかわかりま
せんが、やってみましょう」
「すばらしい獅子頭ができるのを、楽しみに
していますよ。来年の春の祭に間にあうよう
にお願いします」
そういって、和尚は、男に獅子頭を依頼しま
した。


        つづく