富士山のすきな少女


  富士山のすきな少女3


「かな、知っているかい。
富士山の真上から太陽がのぼる日
が、年に二度あるそうだ。
富士山の真上からのぼる太陽をみた
人は、一生幸せに暮らせるそうだ。



しかし、そんな幸運に恵まれた人は、
数える程しかいない。
ましてやたぬき湖にうつる富士山の
姿を見た人は、一人もいないそうだ。
わしも死ぬ前に一度で良いからみた
いものだ」
おじいさんは夢みるようにいいました。



八月十九日の夜のことです。
「かな、明日たぬき湖へいこう。
富士山の真上から、太陽がのぼるよ
うな気がするんだ」
突然おじいさんがいいました。


          つづく



     昨日の分はこちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090802#p1



     初めて読んでくださったかたへ



     富士山のすきな少女1


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090801#p1