井戸で鳴く黄金色のにわとり26
愛するわが子をなくした信廉は、
戦をする気力をすっかりなくして
しまいました。
「わしの一生は、なんだったのだ
ろう。
大切なわが子さえ守ってやること
ができなかった。
戦国の世とはいえ、戦、戦の一生
だった。
もっとたくさん絵を描きたかった。
歌もたくさんよみたかった」
信廉は、甲斐の山をみながら、そ
うつぶやきました。
三月十一日。
武田一族の大将・勝頼が、天目山
で自害しました。
勝頼の自害から十三日後。
三月二十四日。
信廉も、織田軍によるしつような
残党狩りで、首をきられなくなり
ました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100204#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100111#p1
「井戸で鳴く黄金色のにわとり」は、
信州の伊那谷にあった「大島城」に
伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。