開善寺の早梅の精


   開善寺の早梅の精 22


  梅の花匂ふ袂のいかなれば
  夕暮れごとに春雨の降る



文次は、「あの人の香りが残る袖
は、毎夜私の涙でぬれている」
という意味の歌をよみました。
文次は、梅香のことがわすれら
れなかったのでしょうね。



この歌をよんだ翌日、文次は戦
場でなくなりました。
「この世の最後に、梅香さんと
歌あわせができて、わしは幸せ
だった。梅香さん、ありがとう」 
そういって、文次はあちらの国
へ旅立っていきました。


       おわり