夫は童子のごとく


今朝、朝日新聞をひろげたら、

夫は童子のごとく
痴呆の介護19年を450首に
兵庫の女性 歌集を出版

という文字が、目にとびこんできた。




歌集「伴に生きて」は、姫路市の女性
(83)が、19年間介護した夫のこ
とを詠んだもの。
約450首が収められている。




呆けの症状が進む夫を、長年介護してき
た女性が、その時々の思いや場面を歌集
にまとめたものだという。




 短歌集 「伴に生きて」より 



この夫の何処に痴呆の影やある
    ひらきなおりて病院を出づ




懸命に辞書をくりつつ日記書く
    夫若き日は国語指導主事




水道の蛇口しめつつ物忘れ
    ましゆく夫があわれでならぬ




くり返す夫の粗相に甲高き
    われの地声がトイレにこもる




叱られて眠れる夫の手をにぎる
    明日から叱らぬわれでありたし




そうろうと夫の車椅子押すわれに
    力を貸しませ亡き父母よ




五人子の中にひとりの娘あらば
    看取りのひと夜代わりくれんか




置き場所を忘れて探すわが眼鏡
    惚けし夫がかけてすませり




終日を夫の入れ歯を探せるに
    何失くしたと呆けし夫は




悩めるもどうせこの世はケ・セ・ラ・セラ
    童子の夫のリズムに乗ろう




「お父さん忘れないでねこれだけは」
    鴨居に下げるわが名「てる子を」




そのかたの夫は、一昨年秋に84才でな
くなられたらしい。
そのかたは「介護の日々は辛く、沈ん
だこともあったが、歌を作ることで励ま
され慰められた」と語ったという。




19年間本当にご苦労さまでした。
大変でしたね。
だんなさまは「長い間ありがとう」って、
感謝していると思います。
歌集の出版、おめでとうございます。