赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 33


「犬坊。おまえは、この世で一番かわいがってくれ
た人に、やりをむける気か。落ち着け、落ち着くの
だ。そんなことをしたら、おまえは一生後悔するぞ」
どこからか、声が聞こえてきました。
「犬坊」
「犬坊や」
盛永の声も聞こえます。


「兄ちゃん、兄ちゃん」
長五郎のかわいい声も聞こえてきました。
「犬坊、何をするの。あなたは、あんなにかわいが
ってくれた人を、やりでさし殺すつもり。犬坊、そ
んなことをしてはいけません」
奥がたのお万の声が、どこからか聞こえたような気
がしました。


         つづく

赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


赤い夕顔の花 32


「落ち着け、落ち着くのだ。たかが、寝言ではな
いか」
犬坊は、自分の心に何度もそういいきかせました。
でも、犬坊は、自分の気持をコントロールするこ
とができなくなっていたのです。


「盛永さまは、私ひとりのものだ。奥がたのお万
さまになどわたすものか。長五郎さまにもわたさ
ない。誰にもわたすものか」
そうさけぶと、犬坊はやりをかまえました。


         つづく