ライオンめざめる

[童話]ライオンめざめる


   ライオンめざめる 7


「そんなばかな・・・。とうちゃんは、かなのいうことを
信じたい。でも、この話だけは、信じることができな
いね」
おとうさんは、困ったような顔をしました。


さわやかな秋になりました。
かなとりゅうは、高原の小高い丘へ登りました。
りゅうは散歩が大好き。
かなの顔をみると、「散歩に行こう。ねえ、散歩に行
こうよぉ」と、大声でさいそくします。
かなはライオンのロケットを首にかけ、散歩に行きま
した。 


丘へつくと、夏のあいだ美しく咲いていた日光きす
げややなぎらんは、すっかり枯れていました。
そして、草原は一面すすきでおおわれていました。


       つづく





「ライオンめざめる」は、みほようこの四冊目の
童話集「ライオンめざめる」に収録されています。


https://mihoyouko.web.fc2.com/douwasyuu4.html



童話集「ライオンめざめる」の価格は、現在 1540円です。

ライオンめざめる

[童話]ライオンめざめる


   ライオンめざめる 6


「とうちゃん、とうちゃんが誕生日にくれたライオンの
ロケットね、夜になると、うーんうーんってうなるの。
うなるだけではなく、いたいよぉっていうの。とうちゃ
ん、どうしたらいい?」
ある夜、かなはおとうさんに聞きました。
「かな、それほんとうかい?」
「とうちゃん、ほんとうよ」


「とうちゃんは、金でできているライオンが、うなるは
ずはないと思うけれどね」
「私も最初はそう思ったわ。金でできているライオン
が、うなるはずはないって。でも、何度もうなり声を聞
いているうちに、このロケットの中に、だれかがとじこ
められているのではないかと思うようになったの」


       つづく





「ライオンめざめる」は、みほようこの四冊目の
童話集「ライオンめざめる」に収録されています。


https://mihoyouko.web.fc2.com/douwasyuu4.html



童話集「ライオンめざめる」の価格は、現在 1540円です。