瑠璃寺の青獅子8
二週間後。
やっと、気にいった木がみつかり
ました。
大きな桐の木でした。
「この木の中には、獅子が眠って
いる」
木をみた時、男はそう思いました。
「わしは、この木の中に眠ってい
る獅子を、目ざめさすことができ
るだろうか。
獅子よ、早く目をさましておくれ」
男は、桐の木に話しかけました。
木がみつかると、のみやかんなな
ど、道具の手入れを始めました。
仕事を始める前には、滝へ行き、
不動明王にお参りします。
「わしは、獅子頭をみたこどもが、
びっくりして泣きだすような、そ
んなしし頭を彫りたい。
どうかわしに力をかしてください」
そう祈りながら、滝にうたれました。
つづく
昨日の分は、こちら
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091112#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091106#p1
童話「瑠璃寺の青獅子」は、
信州高森町にある瑠璃寺に伝わっ
ている「青獅子」の話をヒントに
して、みほようこが書いたもの。
無断転載・再配布を禁止します。