火とぼし山24
「夜中に、湖の氷の上を歩く娘が
いるのじゃ」
「氷の上を歩く娘?
明神さま。湖の氷は、まだ薄い。
氷の上を歩くなんて、危険です。
こんな寒い日に、湖に落ちれば死
んでしまいますよ」
足長が、心配していいました。
「だから、娘が湖に落ちないよう
に、二人でみはっていてほしいの
じゃ」
「明神さま。娘は、なぜ氷の上を
歩くのでしょう。しかも、夜中に」
手長が聞きました。
「大好きな青年に、会うためじゃ。
湖の氷の上を歩けば、短時間で青年
の所へ行ける。
娘が毎晩会いに行くとは思わないが、
娘をみはっていてほしい。
手長と足長に頼んでおけば、安心じ
ゃからのぅ」
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100331#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。